学長・野風草だより

No.437

No.437 2014年2月10日(月)

ファド・日本歌曲・ジャズ

 ファドという音楽ジャンルがあるのをご存知ですか。ポルトガルで生まれた民族歌謡です。私は、ちあきなおみの「待夢」のアルバムで知りました。とくに吉田旺日本語詞の「霧笛(難船)」はお気に入りです(実際の歌詞とはだいぶ違うようですが)。そして、国民的歌手であるアマリア・ロドリゲスのCDを聞き、実際にファドを聞いてみたいものだと思っていました。
 月田秀子さんが南方のワインバーでミニリサイタルをされると聞いて、年末に出かけました。黒いレースをまとい、すくっと直立して歌う姿に感動しました。ファドは哀愁を帯びたものだと決めつけていましたが、意外や明るい曲調もあるので驚きました。ポルトガルギターは上川保さん、ファドギターは水谷和大さんで、これがまた独特の音色でポルトガルの雰囲気を醸し出します(実際はどうか知りませんが)。アンコールで、私の好きなギリシアの歌で五木寛之作詞の「汽車は8時に出る」を歌ってくれたので、大満足でした。
 本学卒業生で切り絵作家の成田一徹さんの『東京シルエット』(2010 創森社)の90~91頁に、「人生の悲しみを歌うファド」で月田秀子さんが登場します。びっくりしましたね。成田さんはこんなところまで手を伸ばしていたんだ。「大舞台よりも小さな酒場で歌うのがすきという。黒いドレスで、天に向かってほえるように人生の悲しみを歌い続ける」。成田さんに生前、その時のお話を聞いてみたかったな。

 日本の歌曲は、森麻季を聞いてから好きになりリサイタルに行き、佐藤しのぶと中丸三千絵も直接聞きました。そして、有名な鮫島有美子をはじめ、波多野睦美、幸田浩子、唐澤まゆこ、保多由子などのCDを聞きまくっていました。どうしても好き嫌いが出来てきますが、鮫島有美子はやはり心地よいので、リサイタルに出かけることにしました。ご主人のヘルムート・ドイチュさんのピアノ伴奏です。「この道」、「待ちぼうけ」などの有名な童謡からヨーロッパのアリアまで、円熟というか落ち着いた雰囲気でとても良かったです。私は鎌田忠良作詞・中田喜直作曲の「霧と話した」が好きでした。今まで何で知らなかったんだろうと思えるくらい、素晴らしい日本歌曲がたくさんあります。これからも聞きながら日本文化を感じていきたいと思います。

 「ウィスキーがお好きでしょ」の話は、以前に書きました(野風草だよりNo.417)。最近、矢野沙織のアルトサックスの響きにいかれています。これも実際に聞いてみないと思い立ち、大阪のライブハウスで一度聞き、年末には兵庫県立芸術文化センターまで出かけました。ここはとても音響がよく、ピアノ、ベース、ドラムスとのカルテットの演奏が体中に響いてくる感じです。「シング・シング・シング~スィングしなけりゃ意味がない」「チュニジアの夜」など、いつも聞いている10周年のファンリクエストアルバム“ANSWER”に収録されている曲もあり、自然に体が動いてきます。これで、ビールでもあればサイコーなんですがね。アンコールで「ウィスキーがお好きでしょ」をしてくれましたが、途中から口笛での演奏で、ほんま、ステキーーーー。