学長・野風草だより

No.463

No.463 2014年5月4日(日)

故郷松山の書家である三輪田米山の神髄にふれる

 自宅の床の間に2本の掛け軸があります。一つは、幕末・明治前期の三輪田米山(1821~1908)の拓本で「魚躍」です。これは昨年の年賀状に使いました(野風草だよりNo.313172)。もう一つは、自由律俳句の創始者である河東碧梧桐の句「かくて二タ夜 一人ぼち 湯ぼてり寝 早や寝」で、福井県の美浜温泉で詠んだものらしいです。何となくこうした書が好きで、故郷の砥部焼とともに飾っています。
 連休中に、老父が95歳で亡くなり葬儀のため松山に帰りました。3月に90歳で亡くなった老母が西方浄土から、寂しいからはよおいでや、と呼んだのかもしれません。たまたまですが、伊豫豆比古命神社(椿神社)で、「三輪田米山特別展―雄渾自在・現代書の先駆者」が開かれていましたので、兄の車で訪ねました。老父は論語とか中国史、書や焼き物が好きでしたので、お導きかもしれません。

 すばらしい展示に圧倒されました。40点近くの拓本、その原本や草本、大きな1、2、3など少字数書の書幅、六曲一雙屏風のひらかなの四季の歌や漢詩、お祭りの時の幟など、200点近くが展示されています。担当された武田英三さんから詳しくご説明いただきましたので、その素晴らしさ、独自性がよくわかりました。。武田さんとは、以前に「魚躍」などのペーパーウェイトを買って、野風草だよりNo.317にアップしましたら、わざわざご連絡いただてからのご縁です。こんな所で直接お会いできるとは、思ってもみなかったです。

 米山は、明治維新をはさんだ激動の時代を生きながら、書の古典、とくに王羲之に深く学び独自の書風を確立しました。神官としての生活の傍ら、わずかな法帖を頼りに練習を繰り返し、和歌を詠み、芝居を好み、花見に耽り、酒に浸る生活・・・・本当によく飲んでたそうです。そんな中から、彼独自の書を生み出しました。その書は爆発的なエネルギーにみちた造形美を現出し、古今に類を見ないものと近年高く評価されています。思い出にと、「雲」の飾りや「無為」「好古」などの葉書を買いました。武田さん、すばらしい展示、ありがとうございました。