学長・野風草だより

No.493

No.493 2014年8月1日(木)

一人芝居・オーケストラ・尺八

 7月14日、京都府立芸術会館に白石加代子の一人芝居・百物語の第32夜、ファイナル公演を見てきました。今年の2月に見て感動しましたので(野風草だよりNo.436)、最後のファイナル公演を見ようと満を持していました。98話は三島由紀夫の「橋づくし」、いきなり横の通路から登場して、語りが始まったのにはびっくり。これって大衆演劇やスーパー歌舞伎の演出やないか。「いいこと?さっきも言ったけど、もう一度言うわよ。家を出てから、七つの橋を渡りきるまで、絶対に口をきいちゃだめよ。願い事がだめになってしまうんだから。」願掛けの女たちの悲喜こもごもをまことに美しい日本語の語りで展開されていきます。
 99話は泉鏡花の「天守物語」です。筋がイマイチつかめなかったので、あとでネットで調べてみますと、映画や舞台、歌舞伎などでも上演されている有名な物語らしいですね。予習していけばよかった。「『帰したくなくなった、もう帰すまい。腹を切らせる殿様のかわりに、私の心を、私の命を差し上げます』と天守に住む魔性の女は、若武者に言った」。

 1992年6月の第一夜から、足かけ22年。すごいですね。当日買ったパンフによると、演出の鴨下信一さんは、「白石さんのような喜劇俳優はいない。何をやってもすばらしく面白い。おそらく日本の女優で一番喜劇的な要素を持ち合わせているんです。」「一番怖いのは白石さんがみるみる美女になるところ。怖いよね。読みだけで美女が見える。芸の力です。」と言われています。これからはスペシャルとして、とくに評判の高かった作品を上演するらしいです。でも、こうして百物語のラスト4話を見れたことは、本当にラッキーでした。

 7月19日は、大阪のザ・シンフォニーホールへ、NHK交響楽団の演奏を聞きに行きました。レオ・フセインの指揮でモーツァルトの交響曲第41番やラヴェルの作品、そして舘野泉のピアノによるラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲ニ長調」でした。オーケストラはあんまし聞いたことがないので、評価はようわかりませんが、指揮者の若々しさが出ていて溌剌とした印象を持ちました。舘野泉は脳出血による右半身不随から、カムバックして「左手のピアニスト」として有名らしいです。当日も左手で技巧を凝らした曲をいともやすやすと弾いているなと、私には見えました。智内威雄の左手のピアノ演奏を兵庫県立芸術会館で聞いたことがありますので、2回目でした。

 7月21日には、福島区の音楽と酒が出会うバー「ワルツァ」へ、ドイツの友人であるウーベ・ワルターの尺八の演奏会を聞きに行きました。美山町に住む彼との付き合いは、何となくウマが合いもう30年近くになります。2002年には二人で旅行して、彼の故郷を訪ねドイツの農村を回りました。私が担当していた地域文化論の講義で、何度も特別講師に来ていただき、日本とヨーロッパの文化を語っていただきました。昔は大道芸やパフォーマンスもしていましたが、今は尺八を中心にしていろんな方とのコラボで演奏活動を続けています。この日は、小鼓とハン(打楽器)の裕紀さんとピアノのYunさんとの共演でした。演奏終了後、久しぶりにビールを飲みながら語り合いました。こうしたご縁が続くことはありがたいことです。