学長・野風草だより

No.535

No.535 2014年12月24日(水)

クリスマスイブで本年最後、私の大学改革論

 今日はクリスマスイブ。どうも心ときめくとはいかなくなりましたね。本年最後の野風草だよりです。ご覧いただいた皆さまに、感謝申し上げます。鴨川の土手を自転車で走っていると、ユリカモメがたくさん飛来しています。この数年、増えてきたように思います。京都の冬は、ユリカモメが北の国からやってくることで始まるように思います。
 この1年、皆さまにはどのような年だったでしょうか。私にとって一番悲しかったのは、この3月に母を89歳で亡くし、5月に父を94歳で見送ったことでした。両親とも長生きでしたので、天寿を全うしたと思います。故郷の松山で老父母の介護をしてもらった長兄夫婦には感謝の言葉がありません。とりわけお姉さんには良くしていただきました。大病を患っている次兄ともども3人兄弟で老父母を見送れたことは、ありがたいことでした。来年の願いといえば、母校の愛媛県立松山東高校が春の選抜野球選手権に選ばれて、次兄とともに甲子園に応援に行く事です。21世紀枠の候補9校になりましたので、そこから3校が選ばれるのです(野風草だよりNo.495)。さて、どうなるか、楽しみです。

 この頃、青木十良の演奏でバッハの無伴奏チェロ組曲第4,5,6番を聞いています。N響と堤剛でドヴォルザークのチェロ協奏曲を聞いてから(野風草だよりNo.498)、少しチェロに深入りしています。青木十良(1915~2014)に出会い、その包まれるような深い響きに身を任せています。この3つのCDは90歳を超えてから録音したものだそうです。ライナーノートには、次のように書かれています。
 「音楽の仕事、芸術の仕事をしながら、自分が何を求めているんだろうと、ずっと考えてきたわけです。それが『エレガンス』なんだと、つい最近やっと発見しました。・・・『エレガンス』の原語本来の意味には、自尊ということが入っていると思います。日本語の『品格』にも通じると思います。自分を信じ、他の人を尊ぶ。それが全身にみなぎって表現できたときには、100%よい音楽をやったと思いますね。」


 5番の最後に付いているカタルーニャ民謡でパブロ・カザルス編曲の「鳥の歌」を繰り返し聞いています。じーーーーんときますね。これにはカタロニア語の歌詞があって、キリスト誕生を鳥達が喜び合う様を歌ったクリスマスキャロルだそうです。1971年に94歳のカザルスが国連本部で、「私の故郷カタルーニャでは、鳥たちはピースピースと鳴きながら、空を飛ぶのです」と言って、この曲を演奏したことでも有名です。
 青木十良に関しては、大原哲夫『チェリスト、青木十良』(飛鳥新社 2011)、丘山万里子編著『翔べ未分の彼方へ チェリスト青木十良の思索』(株式会社 楽 1995)の本がありました。ドキュメンタリー映画「自尊(エレガンス)を弦の響きにのせて―96歳のチェリスト 青木十良」(2012)もあり、京都でも昨年公開されたようです。残念、未見。今度来たら是非とも見よう。ジャズもいい、尺八・一管・津軽三味線もいい、ファドもなかなか、演歌・Jポップのカバーもよろし、最近はクラシックもちょっぴり、音楽は楽しいですね。

 最近、株式会社進研アドが発行するBetweenという雑誌に、私の改革論ということで、書かしていただきました。Betweenは高等教育の最新の状況をレポートして、全国の高校や大学、短大に配布されています。この4年間学長を務めて感じた事、研究・教育に励んできた事をベースに、最近の日本社会を取り巻く状況を見ながら、私なりの考え方を述べさせていただきました。おそらく現在の時流には沿わないかもしれませんが、「大学教育改革には大局的な視点が不可欠」、「現代に必要な知識を超え、未来を創造できる力を」、「お仕着せでない教育プログラムの創造を」、「さまざまなつながりと3つの特色を強化」、「入試難易度を超えた“No.1”をめざす」といった内容です。おまけの「トップの横顔に迫る」では、私の個人的な研究者・教育者としての履歴、私の好きな言葉を述べています。アクセスしていただき、一読していただければ幸甚です。
 この1年、病気することもなく無事に過ごせたことに感謝するばかりです。亡くなった両親のおかげです。改めて野風草だよりをご覧いただいた皆さまに感謝申し上げるとともに、来年が皆さまにとって幸せな1年になることをお祈りいたします。