学長・野風草だより

No.547

No.547 2014年12月28日(日)

年末に「第9」を聞いて年を越す

 12月8日、南座へ顔見世に行ってきました。今年で3回目で(野風草だよりNo.311436)、師走の楽しみの一つとなりました。3階の一番安い席ですので、オペラグラス持参です。東京の松本幸四郎は初めて見ましたが、「魚屋宗五郎」では江戸っ子の風情が出ていて気持ち良かったです。「藤十郎の恋」は、江戸時代の上方歌舞伎の創設者で和事を確立させた坂田藤十郎の物語で、231年ぶりに大名跡を復活させた4代目藤十郎の息子である扇雀が坂田藤十郎を演じています。3階のあちこちから「成駒屋」の声がかかります。「恋飛脚大和往来 新口村」は、文楽の「傾城恋飛脚 新口村」と同じストーリーです。
 今回のお目当ては、「仮名手本忠臣蔵 7段目 祇園一力茶屋の段」で大星由良之助を演じる片岡仁左衛門でした。酔っぱらって茶屋で遊ぶ風情と色気、一方で忠義を貫き通そうとする武士の心意気、そして今後の仇討を周到に準備していく家老としての苦悩を、仁左衛門が見事に演じていき、実に気持ち良い時間が過ぎていきました。遊女お軽を演じる中村七之助、寺岡平右衛門を演じる中村勘九郎の兄弟も良かったですね。すぐ近くに本物の「一力」があるだけに、親近感も湧きます。入ったことはないけど・・・

 21日には、久しぶりに観世会館で能です。私は観世会の年間ハーフ会員になってますので、名人芸の能や狂言が割と安く見ることが出来るのです。今回も予習をして見ましたので、「小鍛冶」、「葛城」のストーリーや各場面の意味などがわかり、堪能することが出来ました。
 私は笛、小鼓、大鼓、太鼓の囃子の楽器にも興味があります。単調な所作の連続の中で、囃子の楽器の音と掛け声は、変化を与えてくれます。とりわけ、大鼓の力強く高い音は、能を引き締めているように感じます。そして、茂山家の狂言は能で緊張した精神を弛緩させてくれます。来年もハーフ会員となりました。

 28日には、有名なベートーヴェンの「第9」です。師走に入ると「第9」、「第9」と言われますが、今まで生では聞いたことがありませんでした。今年はちょこっとクラシックをかじりかけたので(野風草だよりNo.493)、思い切って出かけました。京都コンサートホールで、大野和士の指揮による京都市交響楽団、ソプラノ:リー・シューイン、メゾソプラノ:池田香織、テノール:西村悟、バリトン:須藤慎吾、合唱:京響コーラスでした。
 一番に感じたことは、人間の声は一番精妙な楽器なんだなということです。ソロ、何人かの掛け合いの見事な歌声、そしてホール中に響き渡るコーラス、正直これはすごい、すごいと圧倒されました。いつかベートーヴェンと同じドイツ人による演奏と歌声を聞いてみたいと思いましたが、帰ってネットで調べたら、2倍、3倍もするお値段でした・・・中学校の時の音楽の先生が熱心で、「晴れたる青空、ただよう雲よ♪♪♪」と「歓喜の歌」を習ったことを思い出しました。
かくして、2014年が過ぎていきました。