学長・野風草だより

No.552

No.552 2015年2月3日(火)

浜村淳さんの講義を聞いて映画漬け

 田部井教育振興会の協力による「現代の社会教養講座」の最終講義が1月23日に開かれ、ラジオのDJでおなじみの浜村淳さんが日本の芸能の歩みなどを話されました。途中「えー」とか「あのー」とつまることなく淀みなくなく話される姿に、さすが40年以上もDJをやられていることはあるなと、まず感心。それからチャップリンの映画「街の灯」を紹介されていくのですが、巧みな語りでまるで実際に映画を観てるような気持になっていくのに、またまた感心しました。そして、最近アジアの映画はすばらしいので、是非見てくださいと締めくくられました。

 早速、観に行きました。まずは台湾映画の「KANO―1931海の向こうの甲子園―」です。戦前に日本が植民地支配をしていた台湾の嘉儀農林学校が甲子園に出場して、大旋風を巻き起こした実話をもとにしています。近藤兵太郎監督(永瀬正敏)のもとで、日本人・台湾人(漢人)・台湾原住民の3民族混成チームが、それぞれの長所を生かしながら、勝ち進み、遂には甲子園出場を果たし、そして決勝戦まで進んでいくのです。その真摯なプレーは、観衆に「天下の嘉農!」と感動を与えるのです。
 プレーは、台湾の大学の現役野球選手などが演じているので、迫力があります。近藤兵太郎は、私の故郷の松山商業の出身でした。時折、松山弁が出ててうれしかったですね。松山では2014年に、彼の言葉である「球は霊(たま)なり」と刻印されたボールの形をした記念碑が作られたそうです。そして農林学校ですので、実習風景や農村風景が出てくるのも親近感を持ちました。

 同じ甲子園ということで、マスターズ甲子園の話で、重松清原作、中井貴一主演の「アゲイン―28年目の甲子園―」。現在の加盟校数は、全国34都道府県、489校(2014.9.25現在)にのぼり、元高校球児たちの第2の夢の場所になっているそうです。現代の親子関係、東北大震災の話を織り込みながら、高校時代にトラブルで甲子園に行けなかった球児たちが、再び夢を追いかける話です。主題歌「夢の続き」は、浜田省吾が歌っています。「ハマショー」はけっこう聞いているので、うれしかったですね。ハッピーエンドで終わりますが、私のような年寄りには、カンドーものでした。
 話は変わりますが、私の母校である松山東高校が、春の選抜に21世紀枠で出場します。何が何でも甲子園へ応援に行くつもりです。

 野球ついでに「バンクーバーの朝日」も見ました。戦前にカナダ・バンクーバーに実在した日系カナダ移民の二世を中心とした野球チームである「バンクーバー朝日」の実話をもとにした映画です。差別や過酷な肉体労働、貧困といった厳しい現実の中で、この野球チームが負け続けるなかから、バントや盗塁、ヒットエンドランなどを駆使したスモールベースボールで、カナダ人チームを打ち破ってリーグチャンピオンとなり、移民たちに一条の希望の光を与えていくというストーリーです。最後は、1941年の太平洋戦争の勃発に伴い、「適性外国人」となってチームは解散し、移民たちは強制移住させられるところで終わります。
 「KANO」の戦前の植民地支配、「バンクーバー」のカナダ移民労働者の歴史的背景については、パンフレットにいずれも研究者による解説が書かれていて、映画の理解を助けてくれます。ここを抜きにして、単なる野球映画として見ることはできません。それにしても、「KAT-TUN」の亀梨和也のピッチャー姿は、かっこよかった。

 「ミルカ」、これはインド映画。1960年のローマオリンピックの陸上400m決勝で、1位だったのにゴール直前で後ろを振り返り、4位になってしまうというミルカ・シンの実話です。なぜ、振り返ったのか。「走れ、ミルカ」・・・1947年のインド・パキスタンの分離独立により、パキスタン領になった故郷の村からインドに逃れる際の、悲惨な経験。「走れ、ミルカ、生き延びろ!」・・・
 主役のファルハーン・アクタルの演技、アスリートとしての走る姿。美しい。そしてインド映画らしく途中で踊りや笑い何度も楽しませてくれて、153分の長編ながら飽きさせません。浜村淳さんのおかげで、立て続けに4本のスポーツ映画を観ましたが、一押しは「ミルカ」でした。