学長・野風草だより

No.574

No.574 2015年4月9日(木)

「SAKURA 」広がる広がる音楽の世界

 京都では桜がどこも満開です。私の近くでは、高瀬川沿いが一番早く、鴨川沿い、岡崎の疎水沿い、そして丸太町の京都地方裁判所のぐるりのしだれ桜と花見をしました。仕事帰りに嵐山の渡月橋の桜、嵐電の花のトンネルも体験しました。その中で一番良かったのは、岡崎疎水の十石舟でした。始まってもう10数年もたつそうで、橋の上からいつか乗ってみたいと思っていましたので、念願が叶いました。川面から両岸の満開の桜を見るのは、粋でした。

 京都市交響楽団とジャズピアノの山下洋輔が協演するので、3月19日、下鴨の京都コンサートホールへ出かけました。山下洋輔には「SAKURA」というタイトルのCDがあり、「さくらさくら」をはじめ日本の童謡、愛唱歌を演奏しています。もう一つのお目当ては、タモリがゲスト出演することでした。指揮者の広上俊一を交えて、楽しいトークが1時間ほどありました。タモリ(森田一義)さんは、大学時代にジャズ研に所属し、一般企業に勤めている時に福岡で山下さんと出会った時の話、上京して漫画家の赤塚不二夫さんのマンションに居候していた時の話など、抱腹絶倒、あっという間の1時間でした。おまけで、ヴォイス・パーカッションを披露してくれました。
 第2部では、ピアノの山下洋輔が広上淳一の指揮で京響と、バーンスタインのウェスト・サイド・ストリーから、グレン・ミラー・メドレー、デューク・エリントンのA列車で行こう、そして最後にガーシュウィンのラプソディー・イン・ブルーを演奏しました。広上の踊るような指揮ぶりで会場は大いにジャズ風に染まり、とくに最後のラプソディ・・・は圧巻でした。アンコールの拍手がいつまでも続きました。帰りがけ記念の思い出に、佐渡裕指揮・シエナウィンドオーケストラとの「ラプソディ・イン・ブルー」を買いました。山下作曲のピアノ協奏曲、ラヴェルのボレロも収録されています。いいですね。

 津軽三味線には、有名な初代高橋竹山がいます。「源流津軽三味線」、「岩木の幻想」、「そのふるさと」、「高橋竹山に聴く」(佐藤貞樹『「高橋竹山に聴く』2010 津軽書房版の附録CD)などを聞いています。もちろん昔から流行っていましたが、私が親しむきっかけになったのは、おそらく15年くらい前に弘前へ農村調査に行き、夜に有名な民謡酒場「ライブハウス山唄」で津軽三味線の生演奏を聴いたことです。本当に圧倒的な迫力でした。月並みですが、津軽の大地を感じました。記念に「JONKARA津軽三味線師弟興演 山田千里対渋谷和生」(1997)を買い、今も聞いています。
 今回は、若手の小山流3代目小山豊(1981生)と新田流2代目新田昌弘(1984生)のジョイントコンサートが3月1日にあり、荒神口の京都府立文化芸術会館へ参りました。撥を叩きつける津軽三味線独特の演奏法を、津軽の五大民謡である「津軽じょんがら節」「おはら節」「よされ節」なども演奏しましたが、全国各地の民謡、そして何より驚きは彼らのオリジナル曲をたくさん演奏してくれたことです。古典的な演奏をふまえながら、新しい音楽の世界を開拓しているのでした。他の楽器との共演活動も盛んなようです。CDを発売しており、二人のデュオ演奏“Karma”を購入して聞いています。盤面にサインをしてもらいました。

 能の世界を少しだけかじっていますが(野風草だよりNo.547504など)、囃子方の演奏は眠りかける私をぴりっとさせてくれます。大鼓のかん高い響きは何とも気持ちがいいものです。対照的に小鼓の柔らかい音は、緊張をほぐしてくれます。太鼓は、知らなかったのですが、鬼や精霊などの超人間的な役の描写の際に使われるのだそうです。私は能管と呼ばれる笛の音が好きです。能では唯一メロディーを奏でます。私は藤舎名生の笛が好きで、上で紹介したピアノの山下洋輔・ニューヨークトリオとの共演もあります(“Pacific Crossing”)。
 2月28日、囃子方を中心とした同明会能へ岡崎の観世会館へ参りました。同明会というのは京都の囃子方の団体で、大正6年に発足し、昭和30年から毎年発表会をもち、今年でちょうど60回となるそうです。金剛流の能「鷺」は初めてでしたので新鮮でした。森田流一管「乱曲音取」は、味わい深く聞かせていただきました。12時に始まり5時まで続きましたので、濃密でしたが、ちょっと疲れました。