学長・野風草だより

No.580

No.580 2015年4月17日(金)

教師をめざす「教師のたまご」スタート

 「教職の大経大」。どんどん実現に向かっています(野風草だよりNo.555)。地域の子供たちを教える「だいけいだい教室」(野風草だよりNo.554)は、今年度の募集が行われています。教師となった卒業生の集まりである大樟教育研究会、資格講座の東京アカデミーのサポートがあります。教師をめざす自主的なサークルである「教師のたまご」も6年目を迎えて、今年度の勉強がスタートしました。昨年度で非常勤を終えられた小部修先生に指導していただいています。最初に1分間スピーチで、自己紹介と教師を目ざしたきっかけを話しました。私も45年前には故郷の愛媛県で高校社会の教師を目ざしていましたので、思い出しながらスピーチをしました。母校の松山東高校で教育実習をしたのも、懐かしい思い出です。ちょうど59秒!

 私からは次のような話をさせていただきました。第1に、教師をめざすという「志」を決して失わないこと。周りの学生が就活で企業の内定をもらっていると、ついつい二股をかけたくなります。途中で教師志望をあきらめてしまいこともあります。初志貫徹。たとえ1年、2年、5年かかろうと、未来を担う子供たちを育てるという素晴らしい仕事に、必ず就けます。先輩たちがサポートしてくれます。
 第2に、そのためには毎日の「努力」を怠らないこと。1年生の時には毎日1時間、2年生の時には2時間、3年生の時には4時間、試験を控えた4年生では8時間、やれば必ず合格できます。ただし、どんなことがあっても毎日、毎日!ついつい、口実をつけてさぼってしまうものです。皆さんのこれからの「成功」をお祈りいたします。

 ちょうど島根県の隠岐島の学生さんがいましたので、飯嶋和一の『狗賓童子の島』(小学館 2015)を紹介しておきました。最近読んだ小説では、一番のオススメ本です。大塩平八郎の乱に賛同して挙兵した河内の豪農の息子(当時数えの6つ)が、10年後に父の罪のために隠岐島に流刑された話です。隠岐島の農業や漁業、島民の暮らしぶり、医者となった息子と島民たちとの交流と献身と役人たちとの戦い、藩役人のくだらなさが、550頁にわたりびっしり描かれています。息子の西村常太郎の「志」と「努力」。こうした素晴らしい小説を読めることは、幸せです。それは私たちが忘れかけている、宮本常一の『忘れられた日本人』(岩波文庫)の世界そのものです。
 飯嶋和一は、変わった小説家で、直木賞など出版社の賞はもらいません。江戸初期の珍しい農民一揆を扱った『神なき月十番目の夜』(1997)を読んだ時のショックが忘れられません。『雷電本紀』(1994)、「始祖鳥紀』(2000)、「黄金旅風』(2004)、『出星前夜』(2008)と寡作ですが、いずれも綿密な史料調査に基づいた力作ばかりです。『天狗争乱』などの小説家吉村昭を思い出します。吉村氏には、生前の2004年に日本経済史研究所の黒正塾でおいでいただいたことがあります。

○小部 修先生のコメント
 2010年度の当時4回生の勝見君(千葉県中学校教員)が、教員採用試験対策のために立ち上げた「教師のたまご」は今年度で、6年目になりました。 現在、1回生から4回生まで三十数名が登録し、毎週水、木、金の3限に、各種面接各種面、集団討論、模擬授業、そして各自治体の情報交換などを活発にしています。 この「たまご」のメリットとしては、①自分たちが自主的、主体的に企画・運営をする ②そのため、面接官の立場や観点がよくわかる ③相互の情報交換で、教職へのモチベーションが上がる などがあります。また、教務部もこの活動を支援し、教採対策の各種参考図書の購入と貸出、そして子どもに関わるボランティアの紹介などどんな相談にものってもらえます。ぜひ、積極的に参加して下さい。


○経済学部4年の白樫 勇気君(「教師のたまご」代表)のコメント
 私は教師のたまごに参加して今年で4年目になります。入学当初から漠然と「先生になりたい」と考え、見学に行ったことが、この活動に参加するきっかけです。「どんなことするんやろー」と、不安に駆られながら活動場所の扉を開けると、そこには教師を目指し、本音で夢を語る先輩の姿がありました。そんな姿に圧倒されながらも「自分もこんな風になりたい!」と思ったことが、4回生になり、教師を目指す私の原動力の一つになっています。
 この教師のたまごで、私は本当に多くのことを学びました。面接のノウハウや授業の作り方はもちろん、現場での経験や自分自身の考えを話し、共有することで「教育」というものを深く考え、自分の財産にすることができました。今年、私はその集大成として教員採用試験を受験します。そして今度はあなたの番です。飛び込むなら今です。私たちと一緒に「良い先生」を目指しましょう!