学長・野風草だより

No.593

No.593 2015年5月20日(水)

大野あずさ先生のアメリカ・デンバー便り

 昨年8月からアメリカ合衆国コロラド州の州都デンバーに来ています。早いもので、帰国まで残すところわずか2ヶ月ほどとなりました。コロラドに来てからの10ヶ月を振り返りつつ、この便りを書いています。


現地での生活
 デンバーはロッキー山脈の麓に位置し、標高がちょうど1マイル(1600m)のため、Mile-High Cityとも呼ばれています。夏は気温30度を越え、冬はマイナス10度以下まで下がりますが、湿度が低くて過ごしやすいです。人口は約65万人で、アメリカで21番目に人口が多い都市です。人口は1930年代から増え続けていますが、アメリカの景気回復とともに、経済・人口共に急成長しています。近郊にあるボウルダーには日本のマラソンや水泳選手も高地トレーニングのためによく訪れます。
 コロラドには大学院留学で2001年5月から2年間住んでいました。私の研究テーマが「デンバーのアメリカ先住民コミュニティの歴史」なので、コロラドを離れてからも年に一度は訪れていました。今回のコロラドでの生活が大きく違うのは、家族と一緒にこちらに来たということ。夫と現在16ヶ月の息子も一緒なので、子育てとのバランスを取りながら研究しています。(実際にバランスが取れているかどうかは疑問ですが…)また、子連れで留学したため、アメリカと日本の保育システムや医療制度の違いについても知識を得ることができ、これまでの研究とは違ったテーマにも興味を持ち始めています。

研究活動
 アメリカではUniversity of Colorado at Denver (CU-Denver)の歴史学部客員教授として研究活動を行っています。CU-Denverはデンバーのダウンタウンにあり、Metropolitan State University of DenverとCommunity College of Denverという二つの大学と計三つの大学が一つのキャンパスを共有している珍しいキャンパスです。

【写真】研究室のあるStudent Commons Building。2014年夏に完成したばかりの新しい建物にある研究室を貸していただきました。

 研究活動の中心はデンバーに住むアメリカ先住民の人々に対するインタビュー、保留地や先住民関係のイベントでのフィールドワーク、国立公文書館や図書館での史資料収集です。インタビューではデンバーに住む先住民の人々に会い、デンバーでの生活について色々とお話を伺っています。フィールドワークでは先住民の各種イベントに参加し、その活動内容について調査しています。特に、アメリカ先住民の代表的な文化行事であるパウワウ(伝統的な衣装を身に着け、太鼓と歌に合わせて踊る)にはほぼ毎週末参加していて、いつも同伴している息子は太鼓に合わせて踊れるようになりました。

【写真】北米で最大のパウワウGathering of Nations(ニューメキシコ州アルバカーキ)にて。写真の女性たちが踊っているのはジングル・ダンスです。衣装にはブリキの缶のふたで作ったベルがついていて、踊るとジャラジャラと良い音がします。

 現地の研究者や学生との交流は主に研究発表の場や共同研究で行っています。アメリカ先住民研究は学際的な研究分野なので、研究者は歴史学部だけでなく、Political Science, Ethnic Studies, Anthropologyなど様々な学部に所属しています。そのため、研究発表や共同研究も学部の枠を越えて行う機会が数多くあります。こちらに来てから歴史学部の研究発表会、コロラド西部史研究会、Metropolitan State Universityの文化人類学週間で研究発表をしました。また、Ethnic StudiesのDonna Martinez教授が編集する50 Events That Shaped American Indian Historyのために、アメリカ先住民の養子縁組と部族大学に関する原稿を書き終えました。(5月15日の締め切りに間に合って、ホッとしています・・・)

【写真】西部劇で有名なモニュメント・バレー(アリゾナおよびユタ州)に昇る朝日。アメリカ先住民ナバホ族の部族公園内にあり、ナバホの人々にとって最も重要な観光資源です。特徴的な形をした岩山の姿がきれいに見えました。

帰国後の楽しみ
 2013年秋学期から産休・育休、そのまま2014年秋学期からアメリカに研究留学となりましたので、丸2年間授業をお休みしていました。今年度秋学期から完全復帰となりますが、久々にゼミを担当し、まだ一度も会ったことのない新しいゼミ生のみなさんと一から関係を築いてくことがとても楽しみです。
 1年間コロラドで生活しながら学んだこと、アメリカ先住民保留地を訪れて体験したことなどを授業に反映させたいと考えています。また、新たに「アメリカン・スタディーズ」と「Special English Lecture Series」という授業も担当しますので、どんな授業になっていくのか、今から楽しみにしています。

【写真】ナバホの生活のデモンストレーションで、伝統的なナバホの髪型に結ってもらいました。ホーガンと呼ばれる丸太でできた伝統的な住居の中で、昔ながらの生活を再現しています。