学長・野風草だより

No.657

No.657 2015年11月28日(土)

「らしさ」を求める17歳からのメッセージ

 以下は、私が受賞作品集のパンフに寄せた言葉です。
 17歳からのメッセージは、今年で15回目となりました。全国から3万通を越えるメッセージが寄せられました。応募していただいた高校生の皆さん、ありがとう。ご指導いただいた先生方に心より感謝申し上げます。
 9月のある日、東京混声合唱団の演奏会へ行き、三善晃作曲の混声合唱組曲「クレーの絵本 第二集」を聞きました。これは、20世紀スイスの画家パウル・クレーの絵に啓示を受けた谷川俊太郎の詩に曲を付けたものです。三善晃は、「地表の背信や不合理、生の哀しみや痛みを、谷川さんの詩とクレーの絵の二重の遠近法の中に見ながら、それを透して、地表への希いと生への愛を歌おう」としたと、述べています。
 その時に歌われた「黄金の魚」(1923)、その絵に、谷川は次のような詩を後半で寄せています。「いのちはいのちをいけにえとして/ひかりかがやく/しあわせはふしあわせをやしないとして/はなひらく/どんなよろこびのふかいうみにも/ひとつぶのなみだが/とけていないということはない」
 谷川俊太郎の詩に曲を付けたものです。三善晃は、「地表の背信や不合理、生の哀しみや痛みを、谷川さんの詩とクレーの絵の二重の遠近法の中に見ながら、それを透して、地表への希いと生への愛を歌おう」としたと、述べています。

 私がよく聞いているピアニストで作曲家の加古隆に、「いにしえの響き」というCDがあります。これは加古が、クレーの有名な絵「いにしえの響き」(1925)などに感動して作曲したものです。クレーの絵が、次々と連鎖反応的に時代と国を超えて文学や音楽を生み出していったのです。クレーは、何に感じながら絵を描いたのでしょうか。そのクレーの絵を見て、谷川や三善、加古ら芸術家たちは、何物にも縛られることなく、直観的に何かを感じたのでしょう。
 17歳「らしさ」、高校生「らしさ」、メッセージ「らしさ」、「らしさ」のしがらみで失っていったもの、それは何だったのでしょうか。青春まっただ中の一七歳の皆さん、偽りの「らしさ」を破壊しよう!生の17歳「らしさ」を取り戻そう!自然の中で呼吸しながら、家族や仲間と語らいながら、静かに内なる自分を見つめながら、直観的に感じたものを、そのまま「17歳からのメッセージ」として表現してみようよ。
 私たち大阪経済大学は、これからも「17歳からのメッセージ」を応援していきます。

 岡山県立岡山南高等学校からは1030点もの応募をいただきました。ありがたいことです。他にも29校に学校特別賞を贈らせていただきました。
 今回は上海の日本人学校高等部より、128点もの応募をいただきました。1点がテーマ②の「グローバル社会に生きる」の金賞に選ばれ、来学されました。同伴の校長先生はなんと本学の卒業生でしたし、教員にも私も知っている卒業生がいて、うれしかったです。こうしたご縁で、この17歳からのメッセージが外国にまで広がるのは、ありがたいです。
 また、テーマ③「今、これだけは言いたい!」の金賞に選ばれたある作品は、今までのとは一味違ったものでした。ツイッターなどで何万件もアクセスがあり、話題になり、テレビの取材もあったそうです。思わぬ広がりが生まれました。
 さらには、今回の学生審査員には、自主的に応募してくれた学生さんたちでした。彼らが選んだ学生審査員賞は、テーマ①「今までの自分、これからの自分」のグランプリ作品と同じとなりました。私たちのような年寄りと20歳の学生の読後感が一緒になるとは、驚きでした。右の写真は、グランプリの生徒さんと学生審査員たちです。学生審査員の皆さん、ありがとう。

 表彰式のあとの懇親会では、高校生、同伴の先生、保護者の皆さまと和やかに懇談しました。表彰式の時の緊張がほどけて、ケーキなどを美味しそうにいただいていました。おめでとう、良かったねと話していると、手書きの文章を読んでいた時以上に、若い感性の輝きが伝わってきます。いいですね。こうした文章を書いて表彰される機会は少ないので、先生方からは是非今後とも続けてほしいと言われました。私のゼミの教え子がいる愛媛県立大洲高校の生徒さんが来ていたので、久しぶりに故郷の言葉で話しました。