学長・野風草だより

No.671~680

No.671 2016年1月30日(土)

年越しのメサイア、年明けの日本舞踊

 年末はベートーヴェンの「第九」が定番となっていますが(野風草だよりNo.547)、昨年は大阪音楽大学の記念演奏会で聞きましたので(野風草だよりNo.642)、気分を変えてクリスマスイヴに因んでヘンデルの「メサイア」を聞いてみました。これは同志社大学の現役学生を中心として、オーケストラ、合唱が行われる全同志社あげての演奏会です。チケットの販売、会場案内などもすべて学生たちが行っていました。1935年から始まり、戦前戦後を通じて通算64回の歴史を刻んでいます。
 第2部の最後のNo.44「神の勝利」は、「ハレルヤ」コーラスとして有名です。会場の人たちも起立して、一緒に合唱するのです。私も中学生の時に習った記憶があり、「ハーレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ・・・」と声を合わせました。懐かしい思い出が蘇りました。そして最後の「アーメン」コーラスが終わってからは、キャンドルサービスが始まりました。暗闇の中で蝋燭を持った合唱団が「きよしこの夜」を静かに歌い上げていきます。厳かなひと時を味わえた年越しでした。

 左京区岡崎の京都会館が、この1月、ロームシアター京都として生まれ変わりました。この建物は前川國男の設計により1960年に建設されたもので(野風草だよりNo.628)、今回の建て替えに関しても、周囲と調和させた外観は残されました。1月30日にオープニング事業として、上方舞・山村流、尾上流、花柳流、若柳流、吾妻流、中村流、京舞・井上流、西川流といった日本の代表的な日本舞踊の家元などが集まる公演でした。
 京舞の5世井上八千代さんの踊りは是非とも見たいと思っていましたので、念願がかないました。上品で端正な踊りだと感じ入りました。清元というのは初めて聞いたのですが、清元美寿太夫(よしじゅだゆう)の謡いに惚れてしまいました。枯れた味わいでしかも伸びやかに朗々と名曲「北州」を謡いあげていくのです。そして、CDで愛聴している(「四季の笛」、「月山」など)藤舎名生の笛の生演奏を聞くのも、今回の目的でした。日本の伝統芸能としての舞と踊、そして演奏、謡いを満喫した3時間でした。
 もう一つ思わぬ収穫は、長唄「漁樵問答」の背景に、千住博の「滝」が使われていたことでした。養老の滝との関りで使われたのでしょうが、目を奪われました。ちょうど3月から千住博の大徳寺聚光院の襖絵「滝」の特別拝観があるので、是非とも行ってみよう。