学長・野風草だより

No.688

No.688 2016年5月30日(月)

藤原忠毅先生のメンフィス便り

 経済学部の藤原忠毅先生よりアメリカのメンフィスより、近況を知らせていただきました。私も2013年の夏にメンフィス大学を表敬訪問したことがありますので(野風草だよりNo.409)、写真などを見てとても懐かしく思いました。
 


 こんにちは。経済学部の藤原忠毅です。2015年の8月から1年間の予定で在外研究の機会を頂き、テネシー州立メンフィス大学に来ています。メンフィス大学のキャンパスはテネシー州の最西部に位置するメンフィス市の中心部にあります。メンフィス市の西側を流れるミシシッピー川を超えると、ミシシッピ州やアーカンソー州にもすぐに行ける距離にあります。川沿いにある公園を晴れた日に散歩するととても気持ち良く、この辺りはメンフィスの中でも住宅地としても人気のあるエリアです。

●メンフィス市の紹介
 メンフィスと聞いて馴染み深いのは、FedExとエルビス・プレスリーとメンフィス・オープン(テニスの大会)ではないでしょうか。FedExはメンフィスを代表する大企業のひとつで、航空輸送を行うグローバル企業としてよく知られています。市街の中心部にFedExフォーラム(アリーナ)がありMemphis Grizzlies(NBAチーム)の本拠地として親しまれています。また、ブルース、ソウルミュージック、ロックンロールといった音楽の街としても有名です。市街地には、エルビス・プレスリーが活躍したレコーディングスタジオや暮らしていた邸宅などがあり、観光の目玉のひとつになっています。そして、メンフィスと言えば、錦織圭選手が4連覇を果たした地としても良く知られています。私も今年のメンフィス・オープンの錦織選手の初戦を観戦しに行ってきました。メンフィスの会場は小さいため、どの席からでも間近で迫力あるゲームが楽しめます。ただ残念ながら、こちらの人はあまりテニスに関心がないのか、メンフィス・オープンについても、錦織選手についても知る人は少ないようでした。
 市街の中心にはコットン博物館があり、ここではアメリカ南部の主要産業であった綿花産業の発展の歴史を勉強することができます。小さな博物館ですが、とても興味深い展示が並んでいます。かつて市街の中心部に世界屈指の綿花の取引市場があり、綿花産業がメンフィス経済を支えていたそうです。写真は、当時、綿花を取引する際に使われたプライスボードとその時の様子だそうです。とても時代を感じる展示です。

●メンフィス大学と研究活動
 メンフィス大学には、自然科学(哲学、数学、生物学、化学、地球科学)、コミュニケーション、ビジネス(経済・経営)、アート&音楽、など多くのカレッジ(学部)が設置されています。私はその中のビジネス&エコノミックスというカレッジに客員研究員として所属しています。メンフィス大学は大経大と国際交流を行っている大学なので、知っている人も多いと思います。これまで2003年からの交流で、23名の経大生がメンフィス大学へ留学し、25名のメンフィスの学生さんが大阪経済大学へ留学に来ています。メンフィス大学では“メンフィスタイガー”が大学のマスコットとして親しまれ、キャンパスの様々なところでトラの像を見ることができます。
 私は現在こちらに来て、自由貿易協定と知的所有権が国際貿易にどのような影響を与えるかという研究を行っています。メンフィス大学の研究者との交流も深めるようにしています。メンフィス大学の経済学部では、月に2回~3回のペースで経済学セミナーが開かれており、アメリカの様々な大学から様々な分野の研究者が来て研究発表を行っています。マクロ経済学、ミクロ経済学、国際経済学、労働経済学、計量経済学など幅広い専門的な研究分野の発表を聞くことも魅力ですが、日本の学会では聞いたことのないような研究発表を聞くこともあり、アメリカの経済学研究の幅広さを感じます。私も帰国までにこのセミナーで発表できるようにと励んでいます。また、私の専門分野に関連する講義もいくつか聴講し、今後の講義に活かせるトッピクに耳を傾けるようにしています。ここでは“アメリカ経済論”という講義が存在しない代わりに、それぞれの講義の中で、現在のアメリカの経済状態やアメリカからみた国際問題を随所に取り入れていくスタイルがとられており、現実の経済現象を理解するために経済分析を適応するという意識が高く、とても参考になります。大学院の講義では毎週5本から6本程度の専門論文が紹介され、断片的にとらえていた知識を体系的に整理するのに役立っています。特に私と同じ研究分野のJOONHYUNG LEE教授は、近年国際経済学の分野において注目されている企業の異質性をとり入れたモデルの理論分析や実証分析に精通し多くの刺激をもらっています。

 また、メンフィス大学には外国語カレッジがあり、その中に日本語学科があります。毎週、金曜日の午後にはランゲージテーブルという国際交流の場が用意されています。簡単に言えば、日本語を勉強しているメンフィス大学の学生さんと日本人留学生が交流する場です。ここでは、日本の留学生たちが先生になって、メンフィスの学生さんに日本語と英語を交えながら日本語の使い方や日本の文化について教えています。日本のサブカルチャーへの関心はとても高く、日本の漫画に出てくる独特の表現や、日本の映画についての質問が飛び交っています。黒沢明監督の映画や宮崎駿監督の作品については精通している学生さんも多く、もしかすると日本の学生さんよりも詳しいかもしれません。写真は、習字の練習がテーマだった時の様子です(経済学部4年生の堀口雄太さんとメンフィス大学の学生さんです)。

 最後に、帰国後の楽しみですが、これまでの1年間で得た知識と経験を自分のこれからの研究にいかしていくことももちろんありますが、それに加え、講義や帰国したら再開する専門ゼミにもいかしていきたいと思っています。