学長・野風草だより

No.695

No.695 2016年6月19日(日)

梅雨の合間に、生き物たちと

 梅雨で外出もままならず、自宅で「何もしない」(長田弘『最後の詩集』84頁 2015みすず書房)時をすごします。庭をぼんやり眺めていると、生き物たちと巡り会います、まだ緑色の実が付いた「まゆみ」の枝に、かたつむりさんが歩いています。半時間ほどじっと見つめていると、やはり少しずつですが、動いています。
 上を見上げたら、山茶花の新葉にトンボさんが止まっていました。じっと動かないので、急いで2階に上がり、撮りました。ネットで調べたら、オニヤンマ科、ヤンマ科の何かでしょうか。「何もしない」でいると、近くの吉田山から「鶯の谷渡り鳴き」が聞こえてきます。しとしと、梅雨らしい雨が続きます。

 山形の農家から名人のさくらんぼをいただきました。天童の佐藤喜博・幸子さんの農園では、大井上康の栄養周期理論により、必要な時期に必要な栄養素を必要なだけ与えるという考えの下で、少量の施肥や防除を行っています。この3月の卒業式で、「栽培している一本一本すべての樹を思い浮かべることができる規模で栽培しています。思い浮かばないところが出てきたら、その部分の樹は倒すことにしています。目標をはっきりと持って、一つひとつに確実に責任をもって手入れをしていくと、植物は必ず答えてくれます。」と、紹介させていただいた農家です(野風草だよりNo.682)。甘いだけでなく、程よい酸っぱさがあります。早速お礼の電話をすると、これまでで一番美味しいさくらんぼが出来たと言われていました。「いのち」をいただき、感謝、感謝。
 その佐藤農園から、3月に訪問した後に「半夏生」の地下茎を送っていただきました。5月に入ってプランターに植えていると、すくすく伸びて、白い花が付き、上部には斑入りの葉が現れてきました。フシギ、ふしぎ、摩訶不思議。初夏の到来を告げる季節花です。季節の72候の一つである「半夏生」は、今年は7月1日で、昔の農家ではこの日までに野良仕事を終えることにしていました。関西ではこの日にタコを食べる風習があるそうです。

 外出できないので、窓際に置いて手入れをしている風蘭を眺めています。これは、2013年に本学の元職員さんからいただいたものです(野風草だよりNo.391478)。今年も可憐に咲いてくれて、こころ和みます。今は3鉢となり、これまたご縁に感謝です。
 ちょっと雨が上がったので、久しぶりに吉田神葬墓地の我が家の墓を掃除し、足を伸ばして吉田神社、宗忠神社、真如堂、黒谷さんを散歩しました。真如堂は紅葉で有名ですが、最近本堂の裏手の東側にたくさんの紫陽花を植えています。普通の西洋アジサイ、ガクアジサイはもちろん、八重咲、純白、そしてヤマアジサイなどが咲き誇っています。やがて三室戸寺や藤森神社のように、紫陽花の名所になるかもしれません。梅雨の合間、いろいろな生き物たちとの出会いです。ありがたいひと時です。

 「何もしない」というのは難しい・・・・