学長・野風草だより

No.719

No.719 2016年8月11日(木)

音楽の悦び―イザイ・加古隆・東京スカパラ

 暑い日が続いています。鶴見緑地運動場で炎天下、ラクロス部男子の応援に駆けつけました。2部の試合で、7対5で甲南大学に粘り勝ちました。おめでとう。観戦は前半だけで、その後地下鉄・阪急を乗り継いで、茨木の藍野学院へ参りました。藍野大学の標語は「病める人々を医やすばかりでなく慰めるために」であり、医療人には、医学知識(ロゴス)とともに医療への心(パトス)が求められる、と強調されています。「藍野学院創基50周年準備事業」として、連続講演会「あいの・心と治療のハーモニー」を行っており、1回目は「イザイの音楽と心理学」でした。学長の武田雅俊先生が、「イザイ音楽の心理的考察“心理学と医療と音楽の融合について”」を講演されましたが、私は応援のためお聞きすることが出来ませんでした。レジュメを拝見すると、とても興味深いものでした。この100年、人類はイザイを超える演奏家・作曲家を生み出していないのではないか、と言われています。

 後半は、イザイなどの曲のヴァイオリン演奏で、南紫音と岡本誠司のヴァイオリン、田村響のピアノでした。メインは、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番、第3番でした。とくに第2番の演奏は難しい曲ですが、素人なりの感想として、ヴァイオリンの多様、多彩な響きを可能な限り追求しているように感じました。イザイの名前しか知らなかった素人にとって、1時間半ほどヴァイオリンを堪能できたひと時でした。感動を胸に家へ帰ってから、イザイの演奏CD「栄光のイザイ」と松田理奈の「無伴奏ヴァイオリンソナタ 作品27」全6曲を注文し、聞いています。まだ、よくわからんけど・・・・
 ウジェーヌ・イザイ(1858~1931)の言葉:「技術を完全に忘れる程、曲の音楽と叙情を勉強して吸収せよ。我を忘れて弾く・・・別の己が弾き、神は我らを導き、真の姿を啓示する。」こうしたすばらしい出会いを作っていただいた小山英夫理事長、武田学長をはじめ藍野学院の皆さまに感謝いたします。

 最近CDでよく聞いているのは、ピアノの加古隆をリーダーとする「QUARTET」「同Ⅱ」です。加古隆は、NHK「映像の世紀」のテーマ曲「パリは燃えているか」などで知られています。きっかけは、何だったのかな。日記を繙いてみるとみると、2005年に家族で熊野古道や南紀・勝浦温泉へ行き、その後いつかはっきりしないけど思い出に2007年に発売された「熊野古道」を買い、時々聞いていたようです。そして、昨年8月にたまたまNHKで「映像の世紀」を見て音楽がすてきだったので、それから集中して聞き始めたようです。ピアノソロもいいですし、カルテットもいいですね。若い時のフランスでのジャズ演奏を含めると、いつの間にかCDは10枚を越えました。

 いつかライブ、リサイタルを聞きたいと思っていましたが、4月24日に京橋近くのいずみホールで念願を果たすことが出来ました。第1部はピアノソロ、第2部はカルテットで「映像の世紀」の数々の曲を組曲形式にまとめて演奏されました。印象を一言でいえば、「端正」。「美しい音と美しいステージ」をキーワードに結成されたカルテットだそうですが、まさにその通りでした。2時間半、幸せなひと時を過ごすことが出来ました。演奏の最初の「大河の一滴」の楽曲メモには、五木寛之の原作エッセイの言葉「人はみな大河の一滴」という言葉のように、水のひとしずくのいのちに人生を重ね合わせ、人それぞれが懸命に生きる姿をイメージしたと書かれています。静かに心の奥深く響いてきます。ファドの月田秀子ベストアルバムには、五木寛之の作詞でこの曲が収録されています。この日の感動をずっと持ち続けるための依り代に、発売されたばかりの「パリは燃えているか=集成=」を買って帰りました。9月には東京でオーケストラをバックに演奏会があるようですが、いつかこちらでも聞いてみたいものです。

 4月14日、京都岡崎のロームシアター京都で、東京スカパラダイスオーケストラの演奏を聞きました。「かなえた夢に火をつけて燃やす」ツアーの特別追加公演「乱れ咲き花ふぶき~春の京都」でした。「スカ」が何を意味するかも知りませんでしたが、ロームシアターは自宅から自転車で行けるし、メンバーは50代で頑張っているし、多くのホーンの響き合いを聞いてみたいと思ったからでしょうか。会場は大ホールが一杯で、私は4階でしたので、まあ座りながら聞いていても違和感はありませんでしたが、1~3階は若い人たち、年配の人たち、みんな総立ちで体を動かし、拳を振り上げていました。

 サックス、トロンボーン、トランペットの響きは軽快で気持ち良かったですし、ボーカル、トークも上手であっという間の3時間でした。バスサックスを吹くさかなクンが登場していました。この日は、思い出に1989~1997と1998~2007の2枚のベストアルバムを買って帰りました。でも、やっぱり、ライブのほうが迫力があっていいですね。