学長・野風草だより

No.780

No.780 2017年4月1日(土)

新入生に贈る言葉

 入学された新入生の皆さん、おめでとうございます。また、本日ご臨席賜りましたご父母、関係者の皆さまに対しましても、心からお慶び申し上げます。本日、ここに学部生・大学院生合わせて2068名の新入生を迎えられたことを、本当にうれしく思います。
 本学は、1932年の浪華高等商業学校に始まり、昭和高等商業学校、女子経済専門学校を経て、1949年に現在の大阪経済大学となりました。2012年に創立80周年を迎え、今年で85年になります。新入生の皆さんは、87期生にあたります。皆さんが35歳ころになる2032年には100周年を迎えます。これまでに9万5千人を越える卒業生を輩出し、社会で活躍しています。今日から皆さんはその伝統を受け継ぐ、大阪経済大学の学生です。大阪経済大学の学生であることに誇り、“大経大PRIDE”をもって4年間を過ごしてほしいと思います。

髙田明さんの『伝えることから始めよう』
 今日はみなさんに4つのことをお話しします。まず第1。この写真、誰だかわかりますか?皆さんもよく知っている方です。そう、ジャパネットたかたの髙田明さんです。髙田さんは、大経大を1971年に卒業しているのです。皆さんの先輩にあたります。社長を引退して、こうした自伝を書かれました。この本ではコミュニケーションをうまくするにはどうしたらいいのか、皆さんにも参考になることが一杯書いていますから、是非読んでみてください。大学時代は、「麻雀とパチンコと英語」の毎日だったそうです。今ならバイトとゲームは決まりですよね。さて、残る一つは何でしょうね。髙田さんは、ESSという英語クラブに入って、英語力を磨いたそうです。皆さんもクラブやサークルに入って、打ち込めるものを見つけてください。本学では、3人に2人がクラブやサークルに入って活動しています。ただし、勉強もね。本学の4年間で卒業できるストレート卒業率は、この3月卒業は90%ちょうどでした。つまり今日ここにいる皆さんのうち10人に一人は留年してしまうんですよね。お父さんお母さんを泣かしたらあかんよ。
 大学入試の国語が不得手であった髙田さん、そのため地元の国立大学を落ち、偶然で本学に来たのです。髙田さんは、日本語をスルーして英語にのめりこみました。大学ではESSに所属して英語を駆使して他大学や他国の人たちと交流を深め、会社に入ってからはヨーロッパで各国の様々な文化に触れていきます。言葉はコミュニケーションとして伝達のツールですが、さらに髙田さんはそのツールを利用して、様々に異なる文化と交流していたのではないでしょうか。
 つまり、「伝わるコミュニケーション」とはツールやスキル、マニュアルだけではなく、人と人との文化の交流である、「どんなこともつながっている」、これが髙田さんのメッセージではないでしょうか。本学も「つながる力。No1」と言っています。皆さんも、この4年間で、仲間と、教職員と、卒業生と、地域と、様々なつながりにチャレンジしてみてください。

ヨーヨー・マと旅するシルクロード
 次にちょっと変わった話をします。まずは、耳を澄まして、音楽を聴いてください。
 最近、映画で「ヨーヨー・マと旅するシルクロード」というのを見ました。世界的なチェリストであるヨーヨー・マ、知っていますか。彼が古代文明をつなぐ交易路であったシルクロードに残る民族音楽を融合させ、国境を越えた文化を模索する活動を2000年から始めるのです。NHKのテレビ「新・シルクロード」で見た方がいるかもしれません。中国琵琶、日本の尺八、イランのケマンチェ、スペイン・ガリシア地方のバグパイプ、などなど。
 ヨーヨー・マは、「新しいものは、文化が交差する場所で生まれる」と言っています。皆さんは、今日から大学という新しい文化に飛び込むことになります。そして考え方も生き方も違う様々な人たちとつながることになります。皆さん、これはきっとチャンスです。今まで自分にはなかったものを、開発していってください。
 彼は、こうも言います。「僕は自分は何者であり、世の中にどう当てはまるかということを常に考えている。この地球に住む約70億人の誰もが同じようなことを考えているのではないだろうか。」彼は小さい時から天才と言われていましたが、ある時、世界的な音楽家から、「あなたの音楽には個性がない」と言われ、それから自分探し、自分なりの音楽を創造しようと悪戦苦闘してきたのだそうです。ヨーヨー・マは、音楽は人生を変える、世界を変えられると確信しています。
 皆さんも、これから自分探しの旅を始めませんか。海外に出かけること、留学することでさらに見つかるかもしれません。今年も4月から留学生が31名入ってくれました。彼らとも是非積極的に交流してください。世界は皆さんを待ってくれています。

黒正巌博士の「道理貫天地」
 3つめ。本学の前身である戦前の昭和高等商業学校の校長先生で、戦後1949年に本学の初代学長を務めた黒正巌博士の言葉に「道理は天地を貫く」というのがあります。これは世界で、日本で、オンリーワンの大経大オリジナルの言葉です。スクリーンに映っているように、この言葉を刻んだ石碑と黒正巌博士の胸像がキャンパスにありますから、あとで学内を探検して見つけてください。
 道理とは何か、人の生きる道、理。いかに生きるか、いかに死ぬるか。道理は、世界をそして目に見えない天地をも貫いているんだ、と黒正博士は言われたのです。各人各様の解釈でかまいません。正解はありません。それが大学で学ぶということです。高校までのA、B、C、Dの選択肢4つに必ず正解がある問題から、答えがなければEをマークする問題です。死ぬまでわからないかもしれません。それもおもしろいんじゃないかな。勉強しながら、本を読みながら、クラブやサークルをしながら、アルバイトをしながら、友達と話しながら、海外をウロウロしながら、ぼっーと一人で考えながら、「道理は天地を貫く」、考えてみてください。大経大でしか学べないこの言葉、覚えていてほしいのです。

長田弘『世界は1冊の本』
 最後に一つ、皆さんに言葉を贈ります。「世界は1冊の本」である。私の好きな詩人である長田弘の詩です。国語の教科書にも載っていますので、ご存知の方もいるかもしれませんね。少しだけ紹介します。

本を読もう。/もっと本を読もう。/もっともっと本を読もう。/
書かれた文字だけが本ではない。/日の光、星の瞬(またた)き、鳥の声、/川の音だって、本なのだ。/
(略)
本でないものはない。/世界というのは開かれた本で、/その本は見えない言葉で書かれている。/
(中略)
人生という本を、人は胸に抱いている。/一個の人間は一冊の本なのだ。/記憶をなくした老人の表情も、本だ。/
(略)
2000億光年のなかの小さな星。/どんなことでもない。生きるとは、/考えることができると言うことだ。/
本を読もう。/もっと本を読もう。/もっともっと本を読もう。/

 皆さん、これからの大学生活で古今東西の知恵の塊である本を読んでみませんか。そしてこれから新しく経験するすべての世界が、本なのです。世界は1冊の本です。皆さんの青春を、世界という本を読んで過ごしてみませんか。

 あらためて新入生の皆さん、入学おめでとう。これから私たち教職員と一緒に大経大でのキャンパスライフを作っていきましょう。私たち教職員は新入生一人ひとりを応援します。以上で、皆さんへのお祝いのメッセージといたします。ありがとうございました。