学長・野風草だより

No.802

No.802 2017年6月30日(金)

法然院でのヴァイオリン・ライブ

 やっと梅雨らしく、雨が続きます。6月26日、自宅近くの鹿ケ谷の法然院で、太田恵資さん(1956~)のヴァイオリン・ライブがあるので出かけました。庭の水盤には、紫陽花の花が浮かべられていました。そして池の上の木の枝には、モリアオガエルの卵がぶらさがっています。やがて池に落ちて、オタマジャクシになり、そしてカエルさんになります。法然院の裏山は、法然院の山号をとって「善気山」と呼ばれ、東山36峰の一つです。自然の霊気に包まれています。本堂でお経を唱え、貫主の梶田真章師の法話をお聞きしました。

 太田さんのヴァイオリンは、10年前の2007年10月に京都RAGでのカルメンマキのライブの時に聞いたことがありました。ピアノは板橋文夫でした。そして、この5月に大阪での松田美緒のライブで伴奏をしていました(野風草だよりNo.800)。私の好きなジャズピアニスト渋谷毅や山下洋輔などとも共演しています。なんか飄逸とした自由自在の音色が好きです。方丈で太田恵資さんのジャズヴァイオリンの即興演奏をたっぷり1時間、味わいました。足でペダル操作して2つ3つの音を重ねながら、即興演奏が続きます。時折、太田さんのモンゴルのホーミー(喉唄)?が入ります。時には鹿威しの響き、鐘の音、蛙の鳴き声との合奏になります。善気山の霊気に包まれていきながら、自然の中での音楽を味わっていきます。ヴァイオリンやホーミーが、自然の中での音の一つになって溶け込んでいる感覚です。あー、気持ちいいー、清々しくなっていきます。この感じは、藤舎推峰の篠笛(一管)によるCD「四季の笛」と同じです。

 アンコールでは、太田さんが私にとって唯一のアイドルであるというフランスのジャズヴァイオリニスト、ステファン・グラッペリ(1908~1997)の曲を弾いてくれました。「ジャンゴの思い出」?終了後、CDを買って盤面にサインをいただき、少しだけお話が出来ました。とても優しい感じでした。

余談:最近大学の同僚から借りたマンガ『BLUE GIANT』(石塚真一作)10巻(2013~2017 小学館)を、4時間かけて一気読みしてしまいました。仙台の高校生の宮本 大がテナーサックスでジャズの世界に入っていき、東京、世界へと飛び出していくマンガです。父に向って息子が「ジャズプレーヤーになりたい」と言ったのに対し、サックスの師匠が答える言葉、「お父さん、「ブルージャイアント」って知ってますか?あまりに高温なため赤を通りこし、青く光る巨星。青色巨星のことです。若い頃、仲間ウチで世界一輝くジャズプレーヤーを「ブルージャイアント」と呼んでいました。なれなかった僕が言うのもおかしな話ですが、僕は息子さんが、大が、ブルージャイアントになってくれたらと」(第3巻)。そして、宮本 大がドイツへ旅立つに際し、地元の仙台へ帰り師匠に挨拶した時、大に話す言葉、「お前、「ブルージャイアント」って知ってるか?お前の音なあ、青くなってきているーーー、どんどんーーー青くなっている」(第10巻)。
 ニューヨークで活躍するジャズピアニストの上原ひろみは、第3巻の帯に、次にように書いています。「無音のはずの漫画から、音が聞こえてくる。心の何かを突き動かす音が。何かを動かすのに『熱量』というものは、不可欠だという事を、主人公の宮本 大と一緒に感じながら、自分を『もっともっと』と奮い立たせられる漫画、それがBLUE GIANTだと思う」。