学長・野風草だより

No.809

No.809 2017年7月16日(日)

山口晃の街歩き旅ノ介・道後温泉の巻

 「ブラタモリ」で2016年1月30日に松山が、翌2月6日には道後温泉が紹介されました。あまりテレビは見ないのですが、両日は故郷紹介とあって、テレビの前にかじりつきました。私の母校の高校のグランドの一部が、お城の土手の一部だったとは、驚きでした。50年近く前、サッカー部の練習でいつも走っていた所でした。こうして、故郷松山が脚光を浴びるのは、うれしいことです。
 日本画家の山口晃が、道後温泉界隈をアート漬けにしていると聞いて、出かけてみました。2014年から「道後オンセナート」と銘打って始められたイベントです。昨年の蜷川実花の写真で飾られた大和屋本店の部屋も残されていて、見てきました。襖や障子、椅子などが青色の桜一色に染められていました。
 山口晃の大和絵風の細密画っぽい日本画はけっこうおもしろく、『ヘンな日本美術史』(2012 祥伝社)も興味深く、好きな画家さんでした。彼の作品である道後温泉の入り口の「鈴生り門」、本館裏の「要電柱」、少し登ったところの「見晴らし小屋」などを見て、各ホテル・旅館の作品を見て回りました。ただし、残念、新作はほとんどなく、過去の作品も複製コピーや陶板でした。

 しかし、一つだけちゃんとした新作を見ることができました。ホテル椿館の1室の畳の間の襖絵「今様物の具吹き寄せ」です。道後温泉のシンボルである鷺たちが坊ちゃん列車に乗って、本館に向かい、中で老若男女の鷺たちが温泉に浸かっているのです。一方には、松山城が遠くにあり、子規や漱石と思しき人たちが、坊ちゃん、マドンナ、山嵐など『坊ちゃん』の人物たちとして描かれていました。これは面白かったです。こんな部屋で泊まるのも一興かもしれません。椿館の従業員の方が詳しく説明してくださり、あとで写真も送って下さいました。ありがとうございました。
 本館は明治27年(1894)に改築されて、123年もたちました。現在椿湯の隣に、「飛鳥乃温泉(あすかのゆ)」が建設中で、ほとんど出来上がっていました。9月にはオープンの予定だそうです。日本最古の温泉として、飛鳥時代をイメージした湯屋だそうです。温泉入口のからくり時計が、もう帰りですよと時を告げてくれ、伊予鉄の「坊ちゃん列車」に乗って帰りました。