学長・野風草だより

No.821~830

No.821 2017年9月29日(金)

創立記念日にあたり

 9月30日は、本学の創立記念日です。ずっと以前は全学休講としていましたが、近年は開講コマ数などの関係で平常どおりとなりました。本学にとって年に1度の大切な日ですので、前日に理事長と私とで、昼休みにお話をさせていただくことにしました。D10教室に教職員160名ほどが集まりました。以下は私がお話しした内容です。

建学の精神「自由と融和」
 皆さん、こんにちは。9月30日は、本学の前身である昭和高等商業学校が1935年に設立認可された日です。1973年3月13日の理事会で、その日を創立記念日にすることを決議しました。浪華高等商業学校が創立された1932年から数えて本年で創立85周年となり、2032年には創立100周年を迎えます。9月15日の卒業式で、卒業・修了生は9万5千名ほどになりました。100周年には10万名に達するでしょう。創立記念日を迎えるにあたり、若干の所信を述べたいと思います。
 本学は、建学の精神として「自由と融和」を掲げてきました。これはどのようなことを意味しているのでしょうか。私はこう思います。現在の21世紀において、「自由」とは「多様性の承認」ということではないでしょうか。みんな違っていい、それを認め合い尊重し合う、大阪経済大学もまた、このような方向をめざしていくべきなのではないかと痛感します。
 「融和」とはみんなが「共存共栄」をめざしていくことです。自分の地位や名誉、お金を追い求めて周りを傷つけ貶めていく「我の世界」に陥り、「おかげさま」と感謝して祈り、「おたがいさま」と労り合うことを忘れてしまってはなりません。「多様性の承認」と「共存共栄」、この二つの原理は生命が誕生して40億年にわたる揺らぐことのない原理だったのです。それがこのわずか3,4百年の資本主義社会により歪められてきたのです。今こそ再び、「自由と融和」、「多様性の承認と共存共栄」が問われているのです。

黒正巌「道理貫天地」
 1949(昭和24)年に新制の大学となった大阪経済大学の前身は、1932(昭和7)年に創立された浪華高等商業学校であり、その後1935(昭和10)年に昭和高等商業学校として再建されました。その初代校長となった黒正巌博士は、本学の初代学長を務めました。その黒正巌博士の言葉に「道理貫天地」というのがあります。これは世界で、日本でオンリーワンの大経大オリジナルの言葉です。
 道理とは何か、人の生きる道、理。いかに生きるか、いかに死ぬるか。古今東西変わらないものです。ギリシアの哲学者ソクラテスは「よりよく生きる」と言い、中国の孔子は「一を以て之を貫く」と言いました。「よりよく」「一」が「道理」にあたるでしょう。道理は、世界をそして目に見えない天地をも貫いているんだ、と黒正博士は言われたのです。各人各様の解釈でかまいません。正解はありません。「道理は天地を貫く」、大経大でしか学べないこの言葉を、教職員の皆さん、是非とも考えていただきたいのです。

黒正巌「研学修道」
 ここでもう一つ、黒正巌博士の言葉を紹介します。「研学修道」、「学を研いで、学問に研鑽して、道を修める、道理を究める」。今日の『大阪経大論集』につながる、1937(昭和12)年に発行された『昭和高商研究部報』第一輯に、黒正校長は「研究部報の発刊を祝す」という一文において, 次のように述べています。
 「量は必ずしも大ならずと雖も, 本誌の紙背にひそむものは, 本校職員生徒の研学修道の精神であつて, 之は軈て無限に伸び伸びて止まざるものであると深く信じて居る」。
 「我が昭和高等商業学校は, 研学修道の精神的殿堂である」と言い, 本学の使命は, 学問研究に没頭するとともに、そのことを通して道を修め、 人格を完成することにあると宣言しています。「研学修道」、創立記念日にあたり、今再び思い出して頂きたいと思います。

研究と教育を第一に
 先ほど理事長は、第一の使命として本学の知名度を上げることを言われました。そのための方策として第一に、教育の質を向上させ、研究に励んで広く学外へ本学の名を知らしめて欲しいと言われました。私も全く賛成です。教員の本分は、教育研究にあります。教育だけ、研究だけではありません。教育も研究もです。これが黒正巌博士の「研学修道」の精神です。90、100周年に向け、今後この精神をとりわけ教員の先生方に自覚していただきたいと思います。
 そのために今後具体的な方策を実施していきたいと思います。来年4月より科学研究費の間接経費の50%、およそ300万円ほどを科研費を取得した先生方に「研究奨励費」として還元していきたいと思います。現在支給されている普通研究費、特別研究費に関しても、再検討すべき時期にきていると考えています。日々の講義やゼミに関しても、学生アンケートや全学・学部FDなどを利用しながら、改善に努力していただくようにお願いいたします。
 教育、研究の分野において、特別な功績のあった先生方には、ベスト・ティーチャー賞として顕彰していく制度を作りたいと思います。その他にも皆さまのご意見を伺いながら、積極的に研究教育の充実に努めていきたいと思います。
 グローバル世界の中で、本学においても国際交流をさらにすすめ、多彩なプログラムを開発し、留学への送り出し、受け入れを進めていきたいと思います。そのためにも英語の講義などでとりわけ教員の皆さまのご協力を仰ぎたいと思います。

本学の教育目標
 私たちは、どのような教育をめざしていくのか。実は私たちは、全学的な「教育目標」を持っていませんでした。第五次中期計画の重点課題および主要施策において、「大学の理念・目的、教育目標を再確認・再定義し、大学全体の三つのポリシーの策定を行う」ことが定められました。9月26日の理事会で、大学の教育目標および大学全体三つのポリシーを策定いたしました。三つのポリシーに関しては、今後も適時見直しを行い、ブラッシュアップを図ることが必要となります。すでに制定されている各学部、各研究科の3ポリシーとの整合も図っていかなければなりません。今後は三つのポリシーを実践しながら、PDCAサイクルを回しながら、教育の質向上につながるように努力していきたいと思います。
ここで大阪経済大学の教育目標を紹介します。
 大阪経済大学は、建学の精神「自由と融和」、教学の理念「人間的実学」に基づき、社会に貢献し活躍する多彩な職業人として身に付けるべき、次のような知識と能力の育成を目指します。
● 新しい時代を生きる市民として必要な幅広い思考力と課題解決能力
● 社会で役立つ各学問分野における実学的な専門知識と技能
● 地域社会・企業社会・国際社会とつながり、多様な人々と協働できる人間力

 これに基づき、本日は時間がありませんので細かい内容は省略しますが、「卒業認定・学位授与の方針 (ディプロマ・ポリシー) 」、「教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」、「大阪経済大学の入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)」を定めました。

90、100周年に向けて
 また理事長は使命の第3、第4として法人の構造を変えていく、組織機構の簡素化、見直しを言われました。私としても、教授会などの運営方法の改善を進めていきたいと思います。また学生部・学生委員会が中心となって、現在の体育館を「経大スポーツ文化センター」として発展させようと考えています。私としても積極的にサポートしていこうと思います。要は、先ほど言いましたように、教員の研究教育体制をいかに保証し充実させていくかです。そのためにもコンプライアンスを重視しながら、職員サイドの権限の強化と責任の明確化が求められてくるでしょう。また、教職員間、職員どうしでの信頼関係の回復も必要でしょう。
 私は2010年11月の1期目の学長就任にあたり、「ゼミの大経大」「マナーの大経大」「就職の大経大」を掲げてやって参りました。大経大と言えば、ゼミ、就職、とあげられるほどになりました。この4月の『日経キャリアマガジン』で就職支援に熱心な大学として全国第2位に選ばれたことは、本当にうれしかったです。教職員の皆さまのご努力のおかげです。
 2013年11月からの2期目は、「そっと手を添え、じっと待つ」教育哲学でもって、なんせ学生目線で、あらゆる場面で学生たちの活躍を応援していこうと決めてやってきました。学生たちが大学の主人公として活躍する「大経大スタイル」を作ろうと思いながらやってきました。「学生つながるプロジェクト」は、学生が主人公となって、「つながる力。」を産み出す5つのプロジェクトとしてまとめました。新入生キャンプなどの「大学プロジェクト」、ZEMI-1グランプリなどの「教育プロジェクト」、「スポーツ・文化プロジェクト」、キッズカレッジなどの「地域プロジェクト」、「グローバルプロジェクト」。この5つの「つなプロ」を今後さらに充実させて、先ほどの「スポーツ文化センター」のように見える化して、外へと広報していきたいと考えています。
 2016年11月からの3期目に入り、私は今後とも理事長と2人3脚で、また学長としてのリーダーシップを発揮して、学長執行部お二人の協力を得ながら、教学として言うべきことはきちんと主張し、大経大の発展に尽くしていきたいと思います。90、100周年に向けて、「大経大PRIDE」を持った学生を育てていき、「満足度No.1」を実現していきたいと思います。「大経大PROFESSIONAL」と呼ばれる学生を育て、「達成度No.1」を実現します。そして理事長も第2の使命として言われましたが、大経大のファンを増やして「大経大FAMILY」を作っていき、「つながる力。No.1」を実現していきましょう。スピードをあげて、教育の質向上に取り組んで参ります。最後に今後とも教職員の皆さまの絶大なるご支援、ご協力をお願いする次第であります。ご清聴、ありがとうございました。