学長・野風草だより

No.844

No.844 2017年12月18日(月)

當る戌歳 吉例顔見世興行

 年末の京の風物詩、顔見世興行の季節です。南座で見てきましたが(野風草だよりNo.311436547)、今年は自宅すぐ近くのロームシアターです。まねき書きの看板があげられていました。南座以外でこれがあがるのは初めてだそうです。勘亭流のこの字を見ると、何か年の瀬を感じます。
 会場に入ると、緞帳の一枚前に写真のような大きな布が掛けられています。そう今回は、中村橋之助改め八代目中村芝翫と息子3名の襲名披露なのです。真ん中の紋は、芝翫の定紋である「祇園守」です。襲名披露というのは、独特の雰囲気があって好きです。今回は、劇中でやるというのでどんなにするのかなと、興味津々でした。私は夜の部でしたので、「人情噺文七元結」の中で行われました。片岡仁左衛門が挨拶を始めました。いいですね。口跡がいい。そして、中村扇雀が小さい頃からの思い出を語ります。中村梅玉、中村七之助、中村壱太郎がそれぞれに口上を述べていきます。そして、最後に中村芝翫が、「隅から隅まで、ずずずーぃとお願い奉りまするー」と述べて、締めました。

 夜の部の演目は、「良弁杉由来-二月堂」では母を坂田藤十郎、生き別れの息子である良弁僧正を藤十郎の息子である中村鴈治郎が演じました。藤十郎は母の哀れを見事に表現していました。「俄獅子」では、中村橋之助、福之助、歌之助の3名の息子さんが鳶頭を演じました。芸者の中村時蔵と中村孝太郎の芸者姿が艶やかでした。とくに時蔵さんの踊りは、一挙一動に上品さが漂っていました。

 「人情噺文七元結」は、中村芝翫の気風にいい江戸っ子ぶりが印象的でした。私は片岡仁左衛門が好きですので、出てきただけでもう満足です。最後の「大江山酒呑童子」は、能や文楽でもよく演じられています。中村勘九郎の酒呑童子、弟の中村七之助の源頼光はとてもよかったのですが、勘九郎が風邪をひいていたのがちょっと残念でした。でも、大満足して帰りました。