学長・野風草だより

No.845

No.845 2018年1月9日(火)

謹賀新年 年頭所感

 新年明けましておめでとうございます。昨年は野風草だよりをご愛読いただき、ありがとうございました。本年もよろしくお願いいたします。昨年の執筆記事数は96、2016年は87で、2015年以前はかるく100を越えていました。今年は、100件を目標に書いていきますので、何卒ご愛読をお願いいたします。
 新年を迎えて玄関には、ちょっと変わったものを飾りました。何だかわかりますか?「晩白柚(ばんぺいゆ)」という大きな柑橘です。熊本の卒業生の方からお贈りいただきました。鏡餅の上に載せる橙の代わりです。三方に裏白と譲り葉を敷いて、その上にデーーーンと鎮座おわしまします。家内安全、子孫繁栄、笑門来福。正月が終われば、果肉はいただいて、果皮はザボン漬けにしよう。
 神棚も掃除して、新年らしく簡単な注連飾りをかけました。榊は松・竹・梅の入った正月用のものです。(梅は後日、咲きました。何だか新年早々縁起がいい・・・)お神酒や、米・塩・水を替えます。吉田神社の氏子になっていますので、伊勢神宮の大麻が配られてきます。
 こうして清々しい気持ちで新年を迎えました。吉田神社、大元宮、宗忠神社へ初詣して、宗忠神社で御神籤をひきました。「吉」。御歌は、「向こうこと 皆楽しみと思いなば これぞ浮世の 大徳という」。財布にしまっています。
 1月9日、教職員が集まり、新年の互礼会と、勤続30、20、10年の表彰式が行われました。理事長のご挨拶のあと、私からも新年の挨拶をしました。以下は、その時の挨拶をもとにした、年頭所感です。

 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。元旦のテレビで、実業団のニューイヤー駅伝が実況中継されていました。スタートに先立ち各チームが紹介されていましたが、愛知製鋼の1区は、昨年3月に卒業した高橋流星君でした。エースであった彼の学年は残念ながら伊勢路駅伝を走れませんでしたが、その後相当努力したんでしょう。1区を任されたのです。そして引継ぎ地点まで先頭集団にくらいつき、何度もテレビで顔を見ることができました。また、住友電工の2区は、数年前に卒業した木村哲也君でした。こうして卒業生が頑張っているのを見るのはうれしいことです。正月早々縁起がいい、勇気付けられました。
 3日からは、軽井沢で行われたスピードスケート・ショートトラックのインカレの応援に参りました。男女ともよく頑張って走ってくれました。昨年は、苫小牧でのフィギィア女子の応援でした(野風草だよりNo.754)。ブルブルッ・・・・

 さて、本年の課題、また当面の重要課題として、私は3つあげたいと思います。第1は、2032年の100周年、そして当面は5年後に迫った2022年の90周年に向けて、どのような将来ビジョンを描くかということです。現在、理事長・学長の下にワーキンググループを立ち上げ、年末より検討を始めています。
 15年後の2032年という社会がどのようになっているか、2030年で日本の総人口は約1億1500万人、高齢化率約32%、18歳人口は約104万人、進学率は50%を超えていると予測されています。ロボット、AIの世界がさらに進んでいるか、ネット授業でキャンパスの要らないサイバー大学が中心かもしれません、大学は学びなおしの生涯教育が中心、外国からの留学生が相当部分を占めているかもしれません。こうした将来社会を見据えながら、本学が今後どのような大学を目指すのかを全学的観点から検討を行っています。一方で絵に描いた餅にならないよう、今すぐに改革しなければならない現実的な課題は何なのかも合わせて検討しています。外部のコンサルタントの知恵もお借りしたいと思います。
 教職員の皆さまにおかれましてもお一人お一人が、是非とも将来ビジョンを考えていただきたいと思います。今後資料、データなど皆さまに提供していくつもりです。ワーキンググループのメンバーにご意見をお寄せ下さい。ただし、W.G.はあくまでもたたき台を作る組織です。どこかの時点で、正式な将来ビジョン、第6次中期計画の策定委員会を立ち上げて、全学的な議論を展開できるようにしていきます。

 第2の課題は、全学的な教育の内部質保障の推進に責任を負う学内組織、システムを作っていくことです。大学基準協会の認証評価で本学は2016年度に適合の評価をいただきましたが、2018年度から第3期サイクルに入り、2023年度には再び審査を受けなければなりません。基準協会では、「内部質保証に関わる学内の様々な取り組みが円滑に進むよう、大学は、その理念・目的等に照らして、大学全体として内部質保証の推進に責任を負う組織を整備するとともに、内部質保証のための全学的な方針および手続きを明示しなければならない。」としています。内部質保証とは、PDCAサイクル等を適切に機能させることによって、質の向上を図り、教育、学習等が適切な水準にあることを大学自らの責任で説明し証明していく学内の恒常的・継続的プロセスを言います。また、内部質保証の対象は教育活動であり、その目的の中心は、教育の充実と学習成果の向上にあるとされています。
 昨年9月には全学的な教育目標とディプロマポリシー、アドミッションポリシー、カリキュラムポリシーの3ポリシーを制定しました。昨年の秋学期より全学的な自己点検・自己評価のあり方の再検討を始めており、大学全体として内部質保証の推進に責任を負う組織を近いうちに立ち上げたいと思います。今後は、これまで以上に内部質保証を重視し、全学的な教学マネジメントの状況により重きを置き、これに対応した組織改革が必要となってきます。教職員の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

 第3には、以上の将来ビジョンの実行、内部質保証を実現するための組織改革です。職員組織が充実してきた現在、委員会は事務部署に屋上屋を架すことになり、事務局部長の権限と責任が曖昧になってきています。また、委員会の業務拡大が教員の教育と研究に影響を与えるようになってきました。
 このような状況を踏まえ、各種委員会を統廃合することにより、事務局部長の権限と責任を明確化し、併せて、学長執行部および学部執行部と事務局部長との協働体制を確立していく必要があります。これにより、教員の学内行政事務の負担を軽減し、教員が教育と研究に専念できる環境を整えていきます。職員においても一層の教育、学内行政事務への関与が求められてくるでしょう。
 これらに対応するため、各種委員会を統廃合し、自己点検・評価組織も連動して、新たな教学マネジメント組織を設けていきたいと思います。現在理事長ともご相談しながら、学長執行部、事務局長室において、どのような組織が良いのかを検討しているところです。

 私は、将来ビジョンの策定、内部質保障の推進、新たな教学マネジメント組織の確立の3つの課題を挙げましたが、皆さまお分かりのようにこれらはバラバラではなく、3つが相互関連を持っていることをご理解下さい。3本の矢というのは毛利元就の故事で、3つを束ねると折れにくいということでした。アベノミクスの3本の矢ではありません。3本の指、指の指し示す方向とご理解下さい。その3本の指の根元には、ちょっと窪んだ掌(たなごころ)があります。掌、手の心です。私たち大阪経済大学の掌は何でしょうか。
 本学は、86年の歴史を刻んで参りましたが、建学の精神として「自由と融和」を掲げてきました。現在の21世紀において、「自由」とは「多様性の承認」ということではないでしょうか。みんな違っていい、それを認め合い尊重し合う、大阪経済大学もまた、このような方向をめざしていくべきなのではないかと痛感します。「融和」とはみんなが「共存共栄」をめざしていくことです。「自由と融和」、「多様性の承認と共存共栄」、これこそが掌の一番奥の窪みにあるものです。「そっと手を添え、じっと待ち」ながら、「おかげさま」と感謝して祈り、「おたがいさま」と労り合うことです。
 1935(昭和10)年に再建された昭和高等商業学校の初代校長となった黒正巌博士は、「道理貫天地」と言われました。さらに「研学修道」、「学を研いで、学問に研鑽して、道を修める、道理を究めよう」と訴えられました。これらは世界で、日本でオンリーワンの大経大オリジナルの言葉です。この「道理貫天地」「研学修道」の言葉、精神こそは、掌から3本の指に伸びていく、「つながる力」となる動脈、サラサラ血液です。動脈硬化をおこしたり、ドロドロ血液にしてはなりません。
 道理、道とは何か、人の生きる道、理。いかに生きるか、いかに死ぬるか。古今東西変わらないものです。ギリシアの哲学者ソクラテスは「よりよく生きる」と言い、中国の孔子は「一を以て之を貫く」と言いました。「よりよく」「一」が「道理」「道」にあたるでしょう。各人各様の解釈でかまいません。生命線などの手相がみな違うように、正解はありません。「道理は天地を貫く」、「研学修道」、本学でしか学べないこの言葉を、教職員の皆さん、是非とも考えていただきたいのです。これを考え続けることこそが、本学の活性化、教育の充実につながっていくと私は確信しています。


 もちろん86年の歴史によって掌にたまってきた組織の埃、垢もあるでしょう。今後これらの3つの課題を同時に実現していく中で、埃、垢を洗い落として、「おかげさま」と感謝しあえる、「おたがいさま」と労わり合える組織を作り上げ、2032年の100周年に向けて全教職員が努力していこうではありませんか。そして、あくまでもどこまでも学生目線で、「そっと手を添え、じっと待つ」スタンスで、3つの課題を遂行していかなければなりません。教員、職員の自己都合を優先してはなりません。
 私は理事長と協力しながら2人3脚で、そして学長としてのリーダーシップを発揮しながら、3つの課題を断固として実現していく所存です。どうか教職員の皆さまのご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。以上で新年のご挨拶といたします。ご清聴、ありがとうございました。