学長・野風草だより

No.850

No.850 2017年1月20日(土)

寒中お見舞い マイ宝物

 寒中お見舞い申し上げます。20日は大寒。2月4日の立春までもう少し、ガマンしながら春を待つことにしましょう。庭では蝋梅が満開です。この季節は花が少ないので、目立ちます。切って、机の上に活けてみました。朝部屋に入ると、いい香りがしてきます。
 庭では、梅の蕾が一日ごとに膨らんでくるのがわかります。一つ開いた、二つ開いた、と毎日ありがとうと話しかけています。枝全部に花が広がれば、春の到来です。

 今回は、「マイ宝物」と名づけて、最近のお宝を紹介してみます。最初は、この10年ほど続けている「ネクタイ紀行」です(野風草だよりNo.559628731824)。左端は、安曇野市の穂高有明の天蚕センターで入手した、超レアものの有明紬・山繭紬です。「天蚕・ヤママユガ」といわれる戸外で飼われた野生の蚕がはき出した絹糸100%で、織られたものです。ネクタイの左にある薄緑しているのが天蚕です。ナラやクヌギ、カシワなどの葉を食べると、このような薄緑になるのだそうです。一般の室内で飼う「家蚕」は、桑の葉を食べさすことで白い糸をはき出すのです。江戸時代から続いていましたが、戦時中で途絶えてしまいました。その後、関係者の努力でこの天蚕センターでやっと復活させたのだそうです。その隣は、「天蚕」糸と「家蚕」糸とで織りなしたものです。
 右から二つ目は、上田紬です。大島紬、結城紬と並んで、日本3大紬です。上田市上塩尻の小岩井紬工房で買ったものです。手織りで見事に「ぼかし」の風合いを出しています。後継者もいて、いろいろと工夫改良を重ねられています。次の試みとして、蚕を自分とこで飼い、糸からすべて自家製を目指しているのだそうです。
 右端は、岐阜県の郡上紬です。郡上八幡の「たにざわ」で買うことができました。さりげない光沢が素敵です。このお店は人間国宝の宗廣力三氏の作品を展示していましたが、何ともいえぬ風情が感じられました。

 ゼミ4年生が卒業論文で生野区の万年筆つくりの職人を調査していました。私は文房具や万年筆には興味がありましたので(野風草だよりNo.789)、平井木工挽物所の平井守さんをお訪ねしました。小さな町工場ですが、入った瞬間、「シャカ」と呼ばれる木を削る刃物が幾つも並んでいます。すべて自家製だそうです。実演もしていただきました。轆轤に木材を取り付けて回転させ、シャカで削っていきます。50年以上にわたる熟練の技はすごいです。
 屋久杉や黒檀、南天、鹿の角など各種の万年筆を見せていただき、一瞬で屋久杉のに惹かれてしまいました。まことに木目が多彩で美しく、木のぬくもりを感じました。写真の左は失敗したもので頂戴しました。何千年と屋久島の大自然で育った木の香りを嗅ぐことができます。日本経済新聞の2017年12月18日の夕刊で、愛用者としてのコメントが掲載されました。

 「道理貫天地」の黒正博士の言葉は、篆刻家の水野恵さん(鮟鱇屈)に2014年に作っていただきました(野風草だよりNo.439)。最近、水野さんのグループの同人展を拝見した折(野風草だよりNo.824)、またもう一つお願いしたところお引き受けいただきました。年末に作品が届きました。最近私がよく紹介している黒正博士の「研学修道」です。前の印が陽刻でしたので、今回は陰刻で仕上げてくださいました。気に入っています。これからは、こちらも表彰状などに押印するつもりです。

 最後の宝物はちょっと変わっています。上の3つがすべて名人技の職人さんの手になるものでしたが、これは稚拙なる私の丹波立杭焼の作品です。学生たちとゼミ旅行に出かけた時、みんなで焼き物を作って楽しんでいます。左端の上の茶色っぽいのは、2011年2月に4年生のゼミ卒業旅行で、越前焼で作りました。その他はすべて2年生のゼミ旅行で城崎温泉に行く途中、篠山市今田町の丹波立杭焼の陶の郷で、焼いてもらったものです。2010年からやり始めて、最初はどんぶり鉢やお椀を作ってみたのですが、家に持って帰るとすべてアウト・・・・2013年からは私の愛用する文房具や小物を入れるお皿にしました。重宝しています。
 こうして、マイ宝物を身に着けたり、囲まれて暮らし、仕事ができるのが、私の小さな喜び、生活の潤いです。