学長・野風草だより

No.853

No.853 2017年12月25日(月)

企業・行政とつながるゼミ活動

 大阪市経済戦略局のバックアップにより、平成29年度の大阪市内ものづくり企業×大学生「~中堅・中小企業と大学生(ゼミ)とのコラボによる課題解決~」の発表会が開かれました。経済学部地域政策学科の山本俊一郎教授の3年生ゼミと、大阪市生野区の履物メーカーである有限会社シューズ・ミニッシュ、東淀川区の工業用洗剤メーカーである鈴木油脂工業株式会社の2社が交流しました。学生たちは約3か月間、工場見学、企業研究などを通じて企業の課題解決に挑み、最終報告会ではまとめ上げた提案を行いました。2015年度から始まり、今年で3年目です(野風草だよりNo.673)。
 シューズ・ミニッシュの第1の課題「効果的な広報活動」には、タレントの起用や駅広告など、さまざまな手法をメリット、デメリットも交え解説。第2の課題「働きやすい職場環境づくり」対策としては、社内アンケートの結果をもとに、自治体と協力して若い靴職人を育成するプログラムを提案しました。
 鈴木油脂工業の第1の課題「家庭用洗剤市場への参入」については、ターゲティングごとの具体的な仕様イメージなどを説明しつつ提案を行い、第2の課題「効果的な広報活動」としては、サンプル配布やキャッチフレーズの作成、キャラクターやSNSを活用した広報戦略などを披露しました。
 報告を聞いて、学生目線での提案に感心しました。こうしたゼミ活動により、地域の企業や行政と深くつながっていくことをうれしく思います。私のゼミ4年生は、2016年度にコラボした会社に就職内定をいただきました。面接で社長さんから、発表会で学長とも話しましたよと言われたそうです。ありがたいことです。山本先生はじめ関係者の皆さまのご努力に感謝いたします。

○有限会社シューズ・ミニッシュ 代表取締役 高本やすお様からのコメント
 学生さん達と一緒に会社の課題を達成する。このような取り組みは初めてのことであり、学生さん達にとって良い機会になれば…と期待と心配が二つありました。心配は若いみんなの未来のお役に立てるかな…?というところでしょうか。企業の課題は企業の人間が努力と工夫を凝らして達成すべきだと思う中、『学生さん用に置きにいく課題を出してはいけない。この取り組みに失礼にあたる。』と考えていたところが当初は難しく感じていました。
 発表を受ける時、学生さん達の素人発想を期待していたわけではありません。やるなら本気で来て欲しいし、本気になれない課題を出したらこの取り組みには意味がない。そう思っていたからこそ、皆さんの発表は上手い下手に関わらず良い刺激になりました。出来ることなら課題達成まで一緒に最後までやりたかったなぁ…というのが本音です。何をやるか?ではなくて、『誰が、いつまでに、どこまでやるか?』目標を遠目に見る癖をつけて、なるべく予定とずれないように実行する。もしかするとこの発表をしてくれたメンバーといつかそういう仕事をすることがあるかも…と勝手にワクワクしています。
 将来、もっと大きな舞台で発表するゼミメンバーも出てくるでしょう。今回の発表には大きなストレスやプレッシャーがあったと思いますが、その時の心境が未来の大舞台で役に立って、「あぁ、あの時の山本ゼミに参加してよかったなぁ…。」と思ってくれる日がいつか来ると信じています。私自身、そして会社にとっても良い経験になりました。この度はありがとうございました!

○大阪市経済戦略局産業振興課 成山浩子様からのコメント
 今回の取組は、日頃接点の少ない市内のものづくり企業と学生の皆さんに、交流の機会を提供し、相互の理解を深めていただくことを目的としています。大阪市内には、約18,000社ものものづくり企業があり、それぞれに素晴らしい技術を有しておられます。
 学生の皆さんには、経営者や社員の方々のお話や工場の見学などを通して、ものづくりの素晴らしさや楽しさを実感していただけたのではないかと考えております。最終発表会では、経営者の方々や大勢の関係者を前にして、学生の皆さんにそれぞれの個性を生かしたユニークで新鮮なプレゼンテーションを行っていただきました。今回の取組で得られた経験が、今後学生の皆さんにとって少しでもお役に立てば幸いです。
 今後とも学生の皆さんと一緒になって取り組んでまいりたいと存じますので、引き続きお力添えいただければ幸いです。ありがとうございました。

○大阪市生野区役所地域まちづくり課 武田雅幸様からのコメント
 今回の交流事業に参加させていただく際に山本教授から「企業が抱える課題を学生目線により課題解決する提案をするのですが、あくまで学生なので企業に満足してもらえるのかどうか」と聞いていたのですが、全くそんなことはなく非常に内容のある提案であった。それは生野区から参加した有限会社シューズミニッシュの高本社長が「今回提案された内容はすべて実現する」と言っていたのが全てである。
 今回、学生は初めて中小企業との接点を持たれたと思うが、中小企業にも魅力的な企業があることを知る良いきっかけになったと思う。今後就職先を考えていくなかで中小企業もその選択肢の一つになっていれば嬉しく思う。最後に本交流事業は大学、企業、行政の3者がwin-winの関係となる素晴らしい取り組みですので、今後も継続して交流事業を続けていただきたいと思う。

○山本ゼミ 3年 森川佳奈さんのコメント
 私はこの企画に取り組むまで、正直ものづくり企業には興味を持っていませんでした。しかし、工場見学や社員の人との会話を通して、仕事に対する熱意と学生である私たちと真摯に向き合う姿勢に、私も全力で考えたいという気持ちが強くなりました。内容は決して容易ではなく、たくさん悩みましたが、その分様々な視点から物事を考える力をつけることができました。最終的に、私たちの意見やアイディアを受け入れてくれる体制を整えてくれることとなり、発表後に社長の笑顔を見たとき、個人的にすごく達成感を覚えました。また、これからの就職活動に向けて視野も広がりました。
 最後になりましたが、今回このような機会を設けてくださったことに心から感謝いたします。