学長・野風草だより

No.103

No.103 2011年6月15日(水)

日経キャリアマガジン 「就職の大経大」と評される理由は、・・・

「日経キャリアマガジン特別編集 親と子のかしこい大学選び 2012」の学長インタビューで、最近の私が考える大経大の教育の方向性について語りました。許可をいただいて全文をここに、掲載いたします。要は、「そっと手を添え、じっと待つ」、そして学生たちに「大経大PRIDE」を育てるということです。少々長いですが、お読みいただければ幸いです。

大阪経済大学学長インタビュー
「就職の大経大」と評される理由は、「マナー」と「ゼミ」にあります

マナーとは、“生き方のスタンス"のこと
2010年11月に学長に就任して以来、私自身が旗振り役となって"3つの大経大"の推進に取り組んでいます。その3つとは、「マナーの大経大」「ゼミの大経大」「就職の大経大」です。これらをより充実させることで、学生には卒業時に「やっぱり、大経大で学んでよかった」と満足してもらいたいと思っています。
まず「マナーの大経大」についてご説明します。学生には「時間を守る」、「場を清める」、「挨拶や礼を尽くす」ことができる人間であってほしいと思います。しかしだからといって、大学で"礼儀作法講座"のようなものを特別に開講しているわけではありません。ここで言うマナーとは、"生き方のスタンス"の問題です。
7年ほど前、私は学内で「マナーアップキャンペーン」を企画しました。教職員がキャンパス内での"たばこのポイ捨て"などのマナー違反撲滅を学生たちに呼びかけるものです。キャンペーンはその後も毎年継続してきましたが、昨年初めて「自分たちも参加したい」と名乗りをあげる学生が出てきました。そして今年はなんと800人もの学生がキャンペーンの先頭に立ってくれたのです。私たちが目指すマナー教育とは、まさにこうしたものです。

大学の役目とは、"生き方のスタンス"、つまり自主性を持った学生を育てるための方向性を、手間と時間をかけながら示すことだと考えます。
次に「ゼミの大経大」とは、自主性を持った学生が育つための環境として、15~20人単位の少人数交流型の教育を徹底していこうというものです。もちろん、ゼミそのものは、目新しい教育手法ではありませんし、今や4年間を通してゼミを中心に学ぶ大学のほうが多いかもしれません。
私たちが「ゼミの大経大」に込めた思いとは、大学による人間教育の原点として、少人数のゼミにもっと力を注いでいこうという意思表示なのです。

震災と学生が教えてくれた大経大PRIDEを育てる
て、ここまで読んで、「マナー教育や人間教育は、はたして大学が行うべきなのか?」と疑問を持たれた方も多いはずです。大阪経済大学は、その名の示すとおり、経済・経営といった実学の分野で高い専門性を持った人材を社会に輩出する大学です。事実、約8万人の卒業生の多くが経済界をリードする立場にあります。そんな大経大に対して大多数の人が期待するイメージと、ここまでの内容には多少なりとも開きがあるでしょう。この疑問にお答えする前に、少し私自身のことも含めて、話をさせてください。

私は長く農業経済史を研究してきました。大学で教鞭をとるようになり、感じたのは「農業と教育は同じだ」ということです。農作物も学生も、"いのち"あるものは自ら生きる力を持っています。ですから、実るまでそっと手を添えて、じっと待つのです。このことは、現場を知る人間なら誰もが理解しています。
ところが、これまでの日本の農業も教育も、さまざまな事情や要因もあって、しばしば現場の外からの大きな力に導かれてきました。その結果、どうなったでしょう。少なくとも現在の社会において、農業も大学も誰もが納得する役割を果たしているとは言えません。
私は日本の大学は、農業と同様に転換期を迎えつつあると、ずっと感じていました。それを確信した出来事が、東日本大震災です。あの大震災に直面し、「日本は生まれ変わらなければならない」、「方向転換しなければならない」と誰もが感じたはずです。私自身も「美しい日本、温かい日本を取り戻すために、その担い手である若者を育てることこそ、大学の役割だ」と改めて気づかされました。
そして震災直後、率先して被災地にボランティアとして赴いたり、大学周辺で義援金の募金を呼びかける学生の多さに、私は感銘しました。「若者は学び、成長しようとしている。彼らを見守り、フォローしてやることが大学の使命だ」と確信したのです。大経大PRIDEが育ちつつあります。
マナー教育や人間教育というと、まるで小学校・中学校、せいぜい高校でやるものだと思われがちですが、そうではないと思います。学ぶべき知識の量が多いため、大学教育ではなおざりにされてきただけです。大学もやはり、人間教育の場であるべきだと、震災と学生たちが教えてくれました。

どんな人間になってほしいかを大学選びの基準に
さて、最後の「就職の大経大」についてです。おそらく、保護者の方にとっては学生の就職支援は最も気になる部分でしょう。大経大は、学生一人ひとりに対するきめ細かいフォロー体制や卒業生の人的ネットワークにより、就職に関しても確かな実績を誇っています。この実績をもって、他大学との差別化を図るのは難しくありません。
ただ、保護者の方にまずご理解いただきたいのは、"就職のために大学教育があるのではない"ということです。就職率や、就職先の企業名、社長になった卒業生の数などは、ランキングでわかりやすいので、目が行きがちなのは無理もありません。しかし、大学で身につく真の"就職力"とは、その教育内容に基づくものです。
私は、「マナーの大経大」「ゼミの大経大」で身につく力こそが「就職の大経大」であり続ける根本だと信じています。保護者のみなさんも、お子さんにどういう人間になってもらいたいのか、そしてそのためにふわさしい大学を選ぶという視点を忘れないでいただきたいと思います。

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