学長・野風草だより

No.124

No.124  2011年7月16日(土)

世界的研究者との交流 “Something Great”

私は、東洋医学、看護学、心理学、教育学などにかかわる人たちと「いのちプロジェクト」という研究会を共同で開いています。これは、2010年1月から始め、「いのち」を共通基盤として、「いのち」の共通感覚・共通認識と共通言語の確立を志向した研究会です。 専門家だけでなく、現場の医療や看護、教育、農業などに携わる方も参加しています。6月には、事務局として万端のお世話をいただいている明治国際医療大学の渡邉勝之さんの出版記念会を行いました(野風草だよりNo,104)。

この7月には、高血圧の黒幕である酵素「レニン」の遺伝子解読を成し遂げ、世界的評価を得られている村上和雄筑波大学名誉教授と、西田哲学による宗教哲学の棚次正和京都府立大学教授による講演とシンポジウムがありました。村上先生は「いのちと遺伝子」、 棚次先生は「いのちといのり」をテーマに講演されました。続いて、脳科学者で筑波大学の鮎沢聡さんの司会で、お二人との鼎談をさせていただきましたが、緊張してまったくお話しできませんでした。村上先生のお考えは、『サムシング・グレート』(1999 サンマーク文庫)、『奇跡を呼ぶ100万回の祈り』(2011 ソフトバンククリエイティブ)などで、棚次先生のご主張は『祈りの人間学』(2009 世界思想社)で知ることができます。また、お二人の対談は、『人は何のために「祈る」のか』(2008 祥伝社)として刊行されています。ご興味のある方は、是非お読みください。

当日は、本学で心理学を教えられている古宮昇先生がお越しいただいていました。ありがとうございます。以下は、先生の感想です。

村上和雄氏(生命科学)によると、細胞核はたった1グラムの2千億分の1の重さしかないのに、そこにDNAらせん階段32億段の情報が書き込まれているという。私には途方もない数字だ。そんな遺伝子の研究を究めて、「こんな奇跡的なものすごいものをいったい誰が書いたんだ」との疑問に突き当たり、その書いた主を「サムシング・グレート」と呼んだのだそうだ。科学を究めた結果、科学では到達できないものがあることを知られたのだろう。

棚次正和氏(宗教哲学)は、祈りは人間の本性であること、そして、個人という小生命は、大生命に組み込まれている、と述べた。これは私の感覚に符合するので、すんなりと受け容れることができた。
そしてそのお二人と鼎談されたのが、徳永光俊学長である。
会場は村上和雄氏のファンが多かったので、徳永学長には話しづらい状況だったろう。学長が話されたことの一つに、日本の農民の「お天道さんには勝てない」という言葉がある。これは日本人の底にある、流れに任せよう、というあり方を表す言葉だと思う。それは良い意味のあきらめにつながる。東北の大震災で暴動が起きなかったのは、日本人のこの態度が一因ではないか、と私は思う。また、徳永学長の「おかげさまのお互いさま」という言葉で、家を出る前に神棚に祈るそうで、ともに学長らしさが出ていていいなあ、と思った。