学長・野風草だより

No.197

No.197 2012年4月1日(日)

桜咲く、新入生の皆さん、入学おめでとう!

キャンパスは、新入生の生き生きした姿であふれています。今年は学生1,829名、大学院生74名を迎えました。毎年のことながら、うれしいものです。これから一緒に、楽しく、厳しくやっていきましょう。入学式での吹奏楽総部の歓迎の演奏は、NHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」メインテーマで、グリークラブはコブクロの「桜」の合唱でした。2クラブには、いつもお世話になっていて、ありがとうございます。以下は、入学式での私の式辞です。

入学された新入生の皆さん、おめでとうございます。また、本日ご臨席賜りましたご父母、関係者の皆さまに対しましても、心からお慶び申し上げます。
大阪経済大学は、今年で創立80周年を迎えます。新しい素晴らしい建物を作っていますし、幾つもの記念事業も行っていきます。皆さんは新入生として1年生として、この記念すべき80周年を迎えることになります。新しい、NEW大経大の主人公として勉学やクラブ、サークルなどの課外活動に励んでいただきたいと思います。
このキャンパスには、80年間私たちをずっと見守ってくれたものがあります。何だかわかりますか?J館とB館の前にある大樟です。本学のシンボルツリーで す。あとでどの木か、キャンパスを探検してみて下さい。学歌の2番にある「学徒子弟が幹負い持ちて諸汗に 確っかと植えた融和のシンボル」と、歌われた木 なのです。これからの学生生活、楽しい時もあるけど、しんどい時、泣きたい時もあるやろう、その時、この木の前に立って「ちょっとしんどいねん、助け て・・・」とつぶやいて下さい。そっと撫でて下さい。生きる力を与えてくれるはずです。
この3月の卒業生で78期生、8万7千人の卒業生がいます。大経大を卒業したことを誇りに、大経大PLIDEを持って、社会の各方面で活躍しておられま す。卒業生みんなが新入生の皆さんに期待してくれています。卒業生の中には、すでに亡くなった方もいらっしゃいます。あの世から、彼岸から見守ってくれて います。
私のような者からすれば、皆さんは私の子供たちです。学生・院生合わせて新しく子供が1800人もできたことになります。若い教職員からすれば、かわいい弟や妹です。私たち大経大の全スタッフは皆さんを新しい家族、大経大FAMILYとして、心から歓迎いたします。

Ⅱ こころざし
入学式の言葉などは、あとで思い出してもあまり覚えているものではありません。何かお説教くさいこと言ってたなくらいのものかもしれません。今だけでもいいから、考えてほしい言葉、日本語を2つだけ言います。
一つ、こころざしです。皆さんのこころざしはどんなものでしょうか。そんなに大げさなことじゃなくてもいいんです。今、これからの学生生活の目標、4年間でしたいことは何だろうか、卒業する時これだけはやり遂げた、考えてみて下さい。友だち作ろう、バイトして遊ぼうでもええんよ。
こころは、どんな方向を指しているのでしょうか。こころが指すからこころざしです。大学生活の時だけではありません。社会に出ても、おそらく死ぬまで、こころざしというこころの方向は問われます。いえ、そもそもこころとは何でしょうか。これまでのマークシート式の問題のように、正解は一つではありません。一人ひとり違っていてもいいのです。この大経大で、自分なりのこころざしを作っていきませんか。
坂本龍馬のような幕末維新の若い志士たちは、新しい近代国家を作っていこうという「青雲の志」を持っていました。青雲というのは、青い雲と書きます。アメリカから来て札幌農学校で教えたクラーク博士は、学生たちに「BOYS BE ANNBITIOUS」「青年(少年)よ、大志をいだけ」と言いました。本学には、札幌農学校の2期生である新渡戸稲造が書いた英語の「BOYS BE ANNBITIOUS」があります。ところで、何で「GIRLS BE ANNBITIOUS」じゃなかったんでしょうね。わかるよね。当時の札幌農学校には、女子学生はいなかったんですね。
1945年の敗戦で日本国土が廃墟になった時、戦後の復興の主人公は青年たちでした。2011年の3月11日の東北大震災、フクシマ原発事故から1年がたち、これからの復興を成し遂げ、21世紀の日本社会を作るのは、皆さんたちの若い力です。是非とも、皆さんなりのこころざしを作り上げて下さい。

Ⅲ おかげさま
2つ目の言葉は、おかげさまです。皆さんはあんまし、言わなくなったかもしれませんが、私などは故郷の四国松山で今88歳になるおふくろからよく言われていました。「おかげさま」、私は母から教えられたこの感謝、祈りの言葉が、日本語で一番美しい言葉だと思っています。皆さんがこうして大学で学べるのもお父さん、お母さんのおかげです。高校の先生、友人たちのおかげかもしれません。今、おかげさまで、ありがとうございます、とそっとつぶやいてみて下さい。
ところで、おかげさまの「かげ」とは、何なのでしょうか。実はよく考えてみると難しいのです。お父さん、お母さんの愛情?経済大学やから、お金?かげだから、何かのかげ?それとも、目に見えないもの?かげが出来るのは、光があるからでしょうか?私は農業経済や農業の歴史を35年間ずっと研究してきて、たくさんの農家と話してきました。彼らは、「お天道様のおかげや」とよく言います。それは太陽のことだけを指しているのではないようです。じゃあ、何なのだろう。カミ様?仏様?私は自分も含めて農家や日本人の生きていく心棒になるものを考え続けてきました。
実は先ほど述べたこころざしの方向の最も遠くにあるものが、このかげなのだろうと思います。光と言ってもいいのかもしれません。光ははるか彼方から、そしてずっと昔から私たちを照らしだしてくれているのかもしれません。それに気づいた時、かげは光に反転するのでしょう。そして、世界中でその光をどのように見てきたかは、地域によって異なります。日本列島には日本固有の光があると、私は考えています。それが何か、これまた各人各様で構わないのです。大学とは、答えのない問題を考えていくところなのです。

Ⅳ 道理は天地を貫く
こころざし、おかげさま、この二つの言葉を、考えてみて下さい。最後にちょっと難しい言葉をお伝えして、終わりにします。戦前の昭和高等商業学校の校長先生で、戦後1949年に本学の初代学長を務めた黒正巌博士の言葉に「道理貫天地」というのがあります。これは世界で、日本でオンリーワンの大経大オリジナルの言葉です。この言葉を刻んだ石碑がキャンパスにありますから、あとで見つけてください。
道理とは何か、人の生きる道、理。いかに生きるか、いかに死ぬるか。実は先ほどから述べているこころざし、おかげさまとは、この道理なのではないでしょうか。もちろん、各人各様の解釈でかまいません。正解はありません。死ぬまでわからないかもしれません。それもおもしろいんじゃないかな。「道理は天地を貫く」、大経大でしか学べないこの言葉、できれば覚えていてほしいです。

新入生の皆さん、おめでとう。一緒にゼミの大経大、マナーの大経大、就職の大経大で楽しくやっていきましょう。以上で、皆さんへのメッセージといたします。ありがとうございました。