学長・野風草だより

No.212

No.212 2012年5月10日(木)

山本俊一郎先生のポーランド便り

経済学部の山本俊一郎先生は、昨年9月からポーランドのワルシャワへ、長期留学されています。お願いして、ポーランドからお便りをいただきました。しっかり勉強されているようですね。5月初めには、ポーランドであった国際地理学会の地域大会で、京都の伝統産業の活性化について、当然ながら英語で発表されたそうです。下の写真のショパン像の前のお二人の子供さん、奥様ともども、お元気で暮らされているようです。

私は、ポーランドへは1998年の10月に国際農業博物館会議があって、出かけたことがあります。初めてヨーロッパに行き、英語で日本農業の歴史を報告しました(“An Essay on the History of Agrarian Systems in Japan”)。ワーキングペーパー(Osaka University of Economics Working Paper Series,No.1998-1)を配布して読み上げるだけでしたが、途中でどこを読んでるのかわからなくなり、頭が真っ白になったのを覚えています。今更ながら、恥ずかしげもなくようやったもんだと思っています。ワルシャワにも、上の写真の市街の広場に面したホテルに泊まりました。この街並みはナチスの空爆や攻撃で破壊されましたが、その後まったく同じ姿で復興されました。コペルニクスの像があったのを覚えています。山本先生、残りの数か月、ご健勝をお祈りいたします。

躍動するポーランド経済:ワルシャワより
私は2011年8月下旬から、ポーランド共和国の首都ワルシャワにあるポーランド科学アカデミーに留学しています。ソブリン危機以降、停滞するEU諸国ですが、ポーランドは外国資本の有力な投資先として注目されており、実質経済成長率をみると2009年にはEU諸国で唯一のプラス成長(1.6%)を維持し、2010年には3.9%、2011年は4.3%と急激な経済発展を遂げています。ワルシャワでも地下鉄の新線工事をはじめ、数多くの商業ビルが建築中です。経済が躍動する雰囲気はここに滞在しているからこそ感じるもので、そのなかで自分の研究「経済発展における無形資産の重要性」を進めることができるのは本当にうれしく思います。

これまで、私は「伝統産業地域が存続するためには何が必要か」について調査を重ねてきました。なかでも、企業(もしくは産地)が有する伝統工芸品の「ブランド」とはどのように構築されるのかについて思案しています。そこで、ポーランドでもこれらのテーマについて調査し、日本との比較ができればと考えています。近年日本でも知られるようになったボレスワビエツの陶磁器や、コニャクフのレース編み、ウォビッツの切り絵など、ポーランドにも数多くの伝統工芸品産地があります。1989年の市場経済化以降、日本と同様に海外からの輸入品におされ、急激に衰退している産地が多いなかで、行政や各産地はどのような対策を行っているか、目下調査をすすめています。

といいながら、調査に必要な語学力はというと、ポーランド語には日本語の「て、に、を、は」にあたる助詞がないため単語の語尾変化に打ちのめされる毎日です。人の名前まで変化して、「アンナ」さんは「アンネ」、「アニエ」、「アノン」、「アネン」と「お前誰やねん!」状態です。こちらで語学学校にも通っていますが、幼稚園に通ってる5歳の息子が地元の子と会話しているのを見るたびに軽い挫折感を覚えます。また、ポーランドの若者は英語も堪能です。下手なポーランド語をもたもた話していると「英語は話せますか?」と英語で答えてくれます(泣)。留学期間も残り3ヶ月となりました。息子に負けないように頑張ります。

「ポーランド」と聞いて何が思い浮かびますか?アウシュビッツ?ショパン?何も浮かばない?中欧においてオーストリアのウィーンやチェコのプラハに比べると、日本ではまだまだ知名度が低いポーランドですが、戦争に翻弄された悲しい歴史だけでなく、数多くの美しい自然、庭園や古城は一見の価値ありです。欧州旅行の機会があればぜひ候補地の一つに組み込んではいかかでしょうか?

(経済学部教員 山本俊一郎)