学長・野風草だより

No.215

No.215 2012年5月11日(金)

久しぶりの映画館

せっかくですので、映画の話題を続けます。4月中旬に、久しぶりに映画館に行ってきました。思い出してみると、子供たちが小さい時はよく『ドラえもん』などを見に映画館に行っていましたが、この頃では山田洋次監督の『たそがれ清兵衛』(2002)などの時代劇3部作(2004、2006)、レイ・チャールズの伝記映画『RAY』(2004)、『ドリームガールズ』(2007)くらいです。映画好きの人からすれば、いい映画は一杯あるのに、なんでやねんと言われそうです。

さて、新聞で宮大工の西岡常一のドキュメンタリー映画があることを知り、十三の第7芸術劇場に出かけました。かつて私の地域文化論では職人について実際に聞き取りしてレポートを書いてもらうことにしていましたが、その際NHKのプロジェクトXの「薬師寺金堂再建」を見せ、西岡常一さんについて勉強してもらいました。山崎祐次監督『宮大工西岡常一の遺言 鬼に訊け』は1時間半ほどの作品ですが、プロジェクトXより生の声がたくさん収録されており、身近に感じることが出来ました。 木は鉄を凌駕する、現代文化に対する西岡棟梁の静かなる反論。「千年の檜には千年のいのちがあります。建てるからには建物のいのちを第一に考えなければならんわけです。風雪に耐えて建つ―それが建築の本来の姿やないですか」「木を切るっちゅうーことは、命を二つに分けるということ」。ここにも現代の教育が考えなければならない、大事な教えがあるように思います。左の写真がその時のチラシです( © 太秦)。

もう一つは、年配の卒業生の方から教えていただいた映画です。九条のシネ・ヌーヴォで上映されていた山崎樹一郎監督の『ひかりのおと』(陽光プロ )です。若き酪農家の新しい出発とその家族の絆を描いた農民讃歌。監督自身が岡山県真庭市のトマト農家ですし、ロケも中国山地で行われているので、臨場感があります。私は農業の研究をしてきましたので、とりわけ日本の酪農が厳しい状況に置かれているのがよくわかります。都会から岡山に帰ってきて、揺れ動きながら酪農を営み、家族のつながりを深めていくさまが、地べたの視点から丹念に描かれています。子牛が生まれるところ、最後に家族で日の出を見るところがヤマでしょうが、タイトルの「ひかりのおと」の深い意味は、まだよくわかりません。

素晴らしい映画を見せていただき、ほんまに感謝です。映画館の人もとても親切でした。ありがとうございました。でもお客さんは、あんまし居ませんでした。