学長・野風草だより

No.218

No.218 2012年5月23日(水)

新入生特殊講義で3.11を考える

毎年春学期、私は新入生特殊講義ということで、大経大の歴史と初代学長黒正巌の学問を教えています。90名ほどが受講してくれています。最初にみんなで学歌を歌います。この日は、経済学部客員教授の原田多美子さんに、3.11東日本大震災の現場からの学びと題して、講義をしていただきました。
1年以上がたち忘れかけていますが、3.11は、おそらく日本社会の転換点になると思い、学生さんたちにその意味を考えてもらうためです。そして大学生になって1冊、本を読み切ってみようということで、以下の本から選んでレポートを出してもらいました。辺見庸『瓦礫の中から言葉を』(NHK出版新書)、玄侑宗久『福島に生きる』(双葉新書)、鷲田清一『語りきれないこと』(角川oneテーマ21)、大澤真幸『夢より深い覚醒へ』(岩波新書)、石牟礼道子・藤原新也『なみだふるはな』(河出書房)、内田樹・名越康文『原発と祈り』(メディアファクトリー)などです。以下は、原田先生のコメントです。

学長の「新入生特殊講義」に参加させていただき、1年生と「3.11東日本大震災」を振り返り、それを通して私たちにできることを考えました。この震災は宮城県沖で発生した想定範囲を越えるM9.0の巨大地震で、被害は岩手県から茨城県まで南北500km、東西200kmにも及び、また、それにより引き起こされた大津波や原子力発電所事故で2万人を越える死者・行方不明者(2012年3月11日現在東日本大震災専門サイト)や建物・生活関連の影響は都市機能、社会機能の不全もたらしました。
 この災害に対して国内はもとより、世界の130国、30の国際機関、670以上のNGOから、人材、物資、募金、技術支援が寄せられ、その中でも初動期におけるアメリカの「トモダチ作戦」は仙台空港の早期再開、災害救助、食料・医療救援等におよび、その支援は迅速で被災者の気持ちを汲んだものとして注目を集めました。 

一方、本学では地震発生の翌日から募金箱の設置、街頭募金活動、避難所への衣類や文具の提供,避難家族に対するお菓子のプレゼントのほかに、学生や職員による自主的な現地ボランティア活動は、報告されているだけでも2011年4月から2012年3月の間に福島県、宮城県、岩手県において8回あまり行いました。
震災から1年2ヶ月が経過し、被災地の復興はまだ程遠い感があります。私たちにできることは常日頃からの危機管理(情報の収集、命を守るための訓練と防災への備え)とボランティア文化の創造です。そのためには学長が提唱する「震災を忘れない」、「被災者に寄り添う継続的な支援活動」を行うことが課題です。
1年生のみなさんは課題図書をクリアするとともに、それを通して自発的で大学生にふさわしいボランティア活動の展開を期待しています。