学長・野風草だより

No.220

No.220 2012年5月31日(木)

2011年度の事業報告書を公開

2011年度の事業報告書が公開されました。私は巻頭に、大経大の教育のあるべき姿を書かせていただきました。黒正巌博士が言われた「道理は天地を貫く」を建学の精神として、大切にしていきたいと思います。私なりの考え方も述べていますので(野風草だよりNo.172)、ご一読下されば、幸いです。事業報告書の全体は、大経大のWEBサイトでPDF版で見ることが出来ます。
http://www.osaka-ue.ac.jp/file/general/1235

大経大の学生教育は、
「こころざしを立てて貫く」「おかげさまと感謝し祈る」

2012年は創立80周年の記念すべき年です。本学はこれまでに78期生、8万7千人の卒業生を送り出してきました。おかげさまで、先輩の教職員をはじめ多くの方々のご尽力、ご支援により、こうして無事80周年を迎えられることに感謝申し上げます。今後、90周年、100周年に向けて、さらに努力を重ねてまいりたいと思います。

教育の質を高めて、3.11以降の日本社会を再興する有為な青年を社会に送り出すことは、大学の社会的使命です。本学はこれまでに「自由と融和」、「人間 的実学」、「つながる力」などを教育理念として掲げてきましたが、その具体化のためには本学独自の教育の心棒になる教育哲学が必要です。
本学の初 代学長である黒正巌博士は、百姓一揆研究の先駆者であり、日本の社会経済史学の開拓者の一人ですが、「道理は天地を貫く」という言葉を私たちに残してくれ ました。第6代学長の鈴木亨博士は、日本独自の哲学である西田哲学を創造的に発展させた稀有な方ですが、「存在者逆接空」の概念を提示し、「空の大悲」に よって私たちは生かされ生きていることを明らかにされました。
いずれも難しい言葉ではありますが、私はお二人の哲学をわかりやすく、現在に合わせた形で発展させ、学生たちの教育に取り組んでいきたいと念願しています。私は黒正博士の孫弟子として農業史・農業哲学の研究に精進してきましたが、「いのち」を育む農業、教育に、そして医療にも通底する「いのち」の哲学は、「そっと手を添え、じっと待つ」であることに気が付きました。黒正イズムとは「こころざしを立てて貫く」ことであり、鈴木哲学とは「おかげさまと感謝し祈る」ことではないでしょうか。
何万年の極東モンスーン地域の日本列島の歴史と風土で育まれた日本哲学は、本学の80年の歴史の中にも息づいているのです。それを未来を担う若者たちに伝えていくことこそ、本学の社会的使命であると考えています。