学長・野風草だより

No.232

No.232 2012年6月16日(土)

坂東玉三郎の妖艶なる歌舞伎の世界

私は、京都左京区の吉田界隈をうろうろして、40年を越えました。第2の故郷といってもいいでしょう。あほみたいですが、東は白川通り、西は烏丸通り、北 は北大路通り、南は四条通りくらいの狭い範囲で暮らしてきました。1985年から大阪経済大学に勤めるようになって、やっとその四角形から飛び出しまし た。京都の名所や寺社もほとんど訪れたことがありません。南座も、昔一度先代の市川猿之助の宙吊りを見たかすかな記憶があるくらいです。年末恒例の顔見世 もまだ見たことがありません。

歳のせいでしょうか、急にせっかく京都にいるのにもったいないなと思うようになり、3月に退職された先生お二人と南座に中村吉右衛門の歌舞伎を見に行きま した。当たり役の「俊寛」でした。泣かせるストーリーで、俊寛の感情の動きが見事に表現されていました。「播磨屋ー」と、時に掛け声がかかります。中村又 五郎、中村歌昇の襲名披露の口上があり、吉右衛門はじめ10名ほどの役者さんがそれぞれ口上を述べていましたが、りりしくも各人の個性が出ていて楽しかっ たです。

楽しかったので、よっしゃ、噂の女形玉三郎も見ておこうと、また南座に出かけました。「阿古屋」は、琴と三味線、胡弓の3つの素養がいる難役だそうです が、見事に演奏されていました。また、衣装が素晴らしい。次の「傾城」は、踊りが中心ですが、舞台の転換が見事で圧倒されました。玉三郎の楽屋が再現され ていましたが、これもまた美しい世界でした。吉右衛門、玉三郎と見て、にわか歌舞伎ファンになりました。今年の年末は、顔見世を覗いてみようと思っていま す。