学長・野風草だより

No.96

No.96 2011年6月1日(水)

劇団維新派で活躍する卒業生

劇団維新派というのをご存知ですか?松本雄吉が主宰するパフォーマンス舞踏集団です。ご存知でない方もいらっしゃると思うので、 http://www.ishinha.com/ へアクセスしてみて下さい。
そこに、大経大を卒業して活躍している役者さんがいるのです。尾立亜実さんです。是非皆さんに知っていただきたいので、まずは彼女の「私と維新派」の文章を紹介します。

中学高校の頃から、美術に興味を持っていた私は、本当は芸大に行きたかったのだが、両親の反対があり経大に入学する事になった。映画や音楽が好きだったの で大学では映画研究部に入った。大学2年の頃、先輩に連れられて維新派を見に行った。大学3年の頃、維新派がスタッフを募集していた為、スタッフとして参 加したところ松本主宰に声をかけられて入団した。演劇なんて全くした事がなかったし、大学生だったので、社会勉強も兼ねて、何事も経験と思い、簡単な気持 ちで役者になった。

でも実際は、舞台で見ている様な華やかで楽しげな世界ではなく、上下関係、コミュニケーション、自己表現が必要である最も現実的な世界で、その時、私は、 劇団は社会の縮図だなと感じた(何事においてもコミュニケーションが必要だという点で)。周りのみんなが就職活動している、大学3年生という微妙な時期 に、劇団に入ってしまい、就職活動もしなければと焦った時もあったが、この劇団の世界で生きていけなければ、きっと社会へ出ても暮らしていけないだろうと 思ったので、石の上にも3年と思い、大学3年の時に1年間休学もして、3年はやる事を決めた。

劇団には、色んな人がいる。意識的な意味でも、個性の面でも。何もない私も、参加するからには、自分の目標を持とうと思った。参加して、自分は劇団の中 で、どのように存在するべきかを考えた。その時からの私の目標、それは、世界に一つ、唯一無二の、この維新派を日本中、世界中のたくさんの人々に見てもら う事、この劇団だけで生活できる様になる事だと思った。やった事が無い事ばかりで、分からない事やできない事が多く辞めようかと思う事もあったが、芸術な んて、誰もやった事が無い物を作りだしていく作業なので、わからない事ばかりで当然だという事に気づいた。何年もやっているから、分かる訳ではない、入っ た年数は関係なく、新しい作品を作る時は、みんな同じスタートラインなのだと気づいた。維新派は、自分達で動き、振り付けを作る。演劇なんてやった事がな いし、勿論、振り付けや動きなんて考えた事がなかったが、やった事が無い事に挑戦して、自分の作品ができると、新しい自分を発見する。追い込まれて苦しい 時の方が多いが、次々に出てくる新しい自分によって、楽しみを見いだしたし、その新しい自分を積み重ねていく事によって、劇団の中における自分の存在意義 や個性が自然と出てきたように思う。

親や社会からの風当たりもキツイため、このまま続けて良いのか迷う事もあるが、新しい自分を発見できてきた今までと、参加する事によって、自分が今生きて いる世界や日常について改めて考える事ができるので、やはり参加している意義はあると思うこの頃。劇団に入っていなければ、考えないだろうと思う事が多い (しょうもない事も、大切な事も)。色んな視点から世界を見られる様になったと思う。これからも、一人でも多くの人に見てもらえる様に活動していきたい。

なんとまあ、素敵な「やんちゃもん」が大経大(卒業生)にいるのでしょう。私と彼女のご縁は、休学から戻って卒業しようとした2006年、メキシコ・ブラジル公演があって、どうしようと学生委員長だった私に相談に来られたのが始まりです。無事卒業して、その後は維新派で活躍されていくのですが、今年の新入生特殊講義とゼミで学生たちにやんちゃな生き方もええじゃん、を伝えて欲しくてお願いしました。以下は、終わっての感想です。尾立さん、ありがとう。学生たち、そしてこの野風草だよりにアクセスしてくれた人は、劇団維新派を知りましたよ。

講演など初めての経験でしたので、前夜も寝付けず緊張しておりましたが、改めて自分の人生を振り返る良い機会にもなるなと思い、お話しさせて頂きました。一年生の講義と3年生のゼミに参加し、どちらでも維新派の認知度が低く、少しがっかりしましたが、若い世代の皆さんにも興味を持ってもらえる様に、さらに頑張っていかなければと身の引き締まる思いでした。
話し始めると次々に話したい事が出てきて、少し支離滅裂になってしまったところもあるとは思いますが、がむしゃらに生きている様子は伝わったのではないかと思っています。学生の皆さんには、時間のある在学中に色々な物や人に出会い、触れて、たくさんの経験をしてもらいたいと思います。今回の講義が、その出会いの一部になり、これからの皆さんの未来のヒントが少しでも見つかっていれば大変光栄です。ありがとうございました。