吉田弘子

「多読」による英語教育に磨きをかけ学生の語学力を高めていきたい

常識をくつがえす画期的な英語教授法

 私は外国語教育、正確にはTESOL(教育学英語教法/
Teaching English to Speakers of Other Languages)について実践的研究を続けています。TESOLとは英語を母語としない人たち向けの英語教授法のこと。本学の英語教育について試行錯誤するなかで、「多読」という従来の常識をくつがえす画期的な英語教授法と出会い、授業などで実践しています。

 日本の英語授業は単語や文法について先生が説明するスタイルが多かったのですが、英語を習得するには大量の英文に触れる必要があります。多読では、語彙や文法を制限し読みやすく工夫された絵本のような児童書を使用し、習得に応じて語数の多い本へと段階的に読み進めていきます。
 本学の英語授業でも、最初は拒否反応を示した学生も、多読を積み重ねることで徐々に苦手意識が薄れ、語数の多い英語の本を多くの時間を要さず読めるようになっていきます。中には、多読を始めて約8か月でTOEIC800点を取得する学生も出てきました。このような多読による効果を客観的なデータで検証するべく、学生のモチベーションや各種テストのスコアの分析を続けています。

多読の効果を測定するテストを作成したい

私がTESOLに興味を持ったのは、民間企業に勤務しながら通訳学校に通っていた時です。英語教授法という学問があることを知り、テンプル大学ジャパンキャンパスで、世界の一流の教授陣から英語教授法の基礎理論や最新の研究を学びました。元々は言語テストを専門としていましたが、英語の多読というアプローチにより、単語の意味はわからなくても文章として理解できるようになった、あるいは難解な専門用語が登場しても経済やビジネス関連の雑誌を読むことに抵抗がなくなったなどの感想を学生から聞くと、本当に嬉しくなります。
 今後、多読の効果をデータとして実証できるテストを作成できればと考えています。現在、予備段階のテストを作成中ですが、統計的処理による検証を繰り返す必要があり、未だ道半ばというところです。