研究関連

伊藤裕人

「多国籍企業」が誕生した歴史的背景を追究

新たな知見を求め、アメリカの化学産業と政策を分析

私の研究のキーワードは、国際カルテル・多国籍企業・グローバリゼーションなどです。資本主義が発展し、産業競争が世界市場競争となるなかで、アメリカの化学企業が第一次・第二次世界大戦を経て多国籍企業として世界に広がっていった歴史の流れを、国際カルテルの問題などを軸として明らかにしてきました。当時の経済的な利害関係を明らかにすることで、法律や政策が変わってきた歴史的背景も浮かび上がってきます。
 アメリカの化学産業を研究テーマに選んだのは、自動車産業などには、すでに多くの研究者が取り組んでいたからです。化学産業は自動車産業と異なって製品展開が幅広く、企業間競争が捉えづらい面もありましたが、やってみようと決心して飛び込みました。
 資料として使用したのは、主にアメリカ議会で行われたヒアリングなどの記録です。日本の国会図書館にマイクロフィルムとして受け入れられたものを読み込み、細かく分析しました。歴史研究はこれまで積み重ねられてきたものの上に成り立つ地道な仕事ですが、この研究の面白さは、歴史の理解を深めるような新たな事実を発見していくことでしょうか。2009年には一連の研究成果を『国際化学産業経営史』(八朔社)という本にまとめ、出版しました。