研究関連

北村實

「ビジネスにおける法の力」を考える

契約成立前後から契約解消までの法律関係に関心

私は現在、「ビジネスにおいて法がどのような力を持つか」を考えています。私の専門分野は契約法です。若いころは契約一般の理論的な解除問題についてドイツ法を参考に研究していましたが、大経大に着任後はビジネス環境に関心が移り、代理店契約・下請契約など、ビジネスにおける具体的な契約解除問題を扱うようになりました。

また当初の私のテーマは解除論のなかでも契約解除後の後始末と清算の問題だったのですが、北浜キャンパスの社会人大学院生を対象とした授業などを通じて、ビジネスパーソンの関心が違うところにあることに気づきました。たとえば、契約の解除より契約関係がいつ成立するのか、解除後の後始末よりどのような場合に契約を離脱できるのか、つまり「要件論」と呼ばれる問題に関心があるのです。
ビジネスパーソンにとって法情報、法能力は明らかに「守り」に止まらない強い力になります。

さらに大経大において長く教学・法人実務に携わってきたことで、大学と学生の権利義務を捉えなおす「在学契約論」も私の大きな研究テーマになってきました。学納金返還裁判は有名ですが、学生処分や授業内容についての権利義務問題です。
今は、120年ぶりの民法・契約法改正の流れを追いながら、「ビジネスにおける法の力」と「在学契約論」をまとめていきたいと考えています。

仕事と生活を通して民法を考えてきた

若いころ、ある先輩研究者から聞いた「民法は私の生きる基準です」という言葉がよく分かりませんでした。そのころは民法の論文を書くことは「仕事」だと認識していました。しかし、徐々に民法のなかにある自律的市民像は仕事と生活の隅々にまで及ぶべきだと考えるようになり、民法は私にも「生きる基準」「行為の規範」となりました。それは「自律的市民への成長を促す」という私の教育理念にも結びついています。また社会全体の利益を考え、法的な判断力・能力をもって行動できる自律的企業市民の育成は、とても意義のあることだと思っています。
最近は、ビジネスだけでなく市民生活でも契約の役割と範囲が広がっています。
私が担当する「契約法」「民法Ⅰ」他の授業では、個人の意思により社会関係の多くは作られていくこと、そして自分が納得し合意したことには法的責任が伴うということを教えています。