研究関連

柏木 正

「なんのために学ぶのか」を問いながら、教育の方法・学力評価の方法を探究    【柏木正】

知的好奇心を揺さぶるような「学び」を追い求めて

専門は教育学です。特に教育の方法、学力評価の方法について研究を続けています。私が教育という問題に取り組もうと思った根底には、「何のために学ぶのか」という問いに対して自分なりに答えを出したいという気持ちがありました。 

学生の中には「将来のため、生活の糧を得るため、仕方なく勉強している」という人がいます。その一方で「学ぶのは当たり前でしょう」と言い、疑問を持たない学生もいます。「何のために学ぶのか」という問いに対して、自分で答えを見つけようとすることが大切だと思います。押しつけられた目標しかなければ、学ぶことが嫌になり、知的好奇心も衰えてしまうでしょう。

「学んだ成果をどうやって測るか」は教育関係者にとっては永遠の研究テーマです。特定の知識の定着度は測りやすいですが、その知識をどれだけ活用できるかは、測定が非常に困難です。より高度な、応用的な学力であればあるほど、慎重に行わねばなりません。また子どもたちの態度や関心を評価する際も、研究者は細心の注意を払います。
現場との交流から、自分の言葉、考えを紡ぎ出す
教師を目指す学生から「モンスターペアレンツ」への不安をよく耳にします。私は「親と教師は、本来、協力して子どものために知恵を出し合うべき仲間なのに、はじめから親を<モンスター=敵>と考えるところからは、解決の途は生まれない。モンスターと思える相手ならば、なぜモンスター化しているのかを考えてみよう。その親御さんは孤立し、心を開く相手がいないので、そのストレスを教師にぶつけているのかも知れない」と答えます。

保護者だけではなく、学生の中にも、孤立感、孤独感を持っている人が多いようです。「空気が読めない人と言われたくないために、心を開かず、ノリだけで話をする」。そんな状況の中で生きていくのはとても辛いことです。ノリだけの会話は、借り物の言葉で話すような空虚さがつきまといます。

大切なのは人と関わり、自分の考えを深めていく姿勢を持ち続けることだと思います。私自身も教育について学び、研究を続けるほど、かえって現場の先生たち、生徒たち、大学のゼミ生から教わることが増えてきます。そのような営みから、自分の考えや言葉を紡ぎ出す喜び、新たな発見に出会う感動が生まれてくるのです。