研究関連

楠本秀忠

ウォーミングアップ、クールダウンの効用を実証的かつ多面的に研究

軽い動作は、体を活性化・沈静化する

スポーツを始める前にウォーミングアップを行ったり、終えた後にクールダウンをすることで、けがを防いだり、疲れが残りにくいといわれます。では、ウォーミングアップやクールダウンは私たちの身体にどのような効果を及ぼしているのでしょうか。私は研究を通じて、運動終了後にエアバッグ式の足マッサージ機をつかった場合と、ただ安静にしているのでは、マッサージをした方が疲れのたまり方を示す乳酸値が少なく、血圧も穏やかに下がるということを見出しました。また、足を動かす軽いウォーミングアップは計算など脳を使う作業でも効果があることも確認しました。このような軽い運動により足の末梢神経を刺激することで、脳を活性化したり、興奮を抑える副交感神経に影響を与えているという推測ができます。
歩くということに着目した研究も進めており、現在、三次元動作解析装置を使って妊娠中の女性の重心移動などを調べています。まだ基礎データを集めている段階ですが、今後、妊娠している女性や高齢者の歩く仕組みを探究し、足首や膝に負担をかけない歩き方の指導や、歩きやすい靴や床素材の開発などにも貢献したいと思っています。

研究活動を通じて育まれる「仲間の輪」

このような研究を行うには、協力者が必要です。研究室の学生たちは各自の卒業研究に熱心に取り組んでいるのですが、私の研究にも興味をもち、快く手伝ってくれます。学生には中学・高校の体育教師やスポーツトレーナーを志望する人が多いので、「けがをさせないで、効果的にスポーツを行う」ための研究に関心を寄せているのだと思います。
研究にせよ、仕事にせよ、大切なのは人と人とのつながりです。自分を成長させるためにも、研究室の仲間や卒業した先輩たちと深く交わることができるよう、いろいろな機会を設けています。冬の「スノボ合宿」もその一例で、卒業生と現役学生が大型バスをチャーターして遊びに行きます。学生は先輩たちから企業や就職活動について学び、卒業生は若い世代の人たちと交流する楽しさを経験し、知らなかった情報を得るようです。
スポーツにとって、ウォーミングアップやクールダウンの役割は大きいものです。それと同様に私の研究室が学生にとっては社会に出る前のウォーミングアップの場となり、卒業生にとってはクールダウンの場になっているのであれば幸いです。