私は、マンツーマンで誰かと話すことは好きなのですが、大勢の人を前にすると緊張して硬くなってしまい、うまく話すことができません。人間科学部を選んだ理由は、そんな自分を変えるため。心理学を学ぶことでコミュニケーション力を身につけ、人前でもハキハキと話せるようになろうという考えがありました。
心理学の授業はとても興味深いものばかりでした。人間の感情を学問として考える、という考え方は初めてで、「人に好印象を与える振る舞い」「悪く捉えられる言葉遣い」などが理論として解説できるところが面白いと思いました。普段の生活の中でも、お互いに心地良く会話できるよう、気をつけることが増えました。
ただ、人前に立つと緊張する悪い癖は直りませんでした。こんな調子で面接は大丈夫だろうか。就職活動が迫ってくると、毎日不安で気分が落ち込みました。そんな時に受講した就職活動スタートアップ講座で、私を変える出会いがありました。
その講座では、就職活動を終えた先輩方が私たちの前に立ち、どのように就職活動を進めていったのか、ご自身の経験を語ってくれます。その中の一人に、とても表情豊かに、堂々と話す方がいらっしゃいました。私にはできないな、と感心していました。しかしその方は「私は人前で話すのがとても苦手でしたが、就職活動を通して苦手意識がなくなりました」と話していたのです。とても驚くと同時に、私もあんな風に話せるようになれるかもしれないと、希望が湧いてきました。
それからは模擬面接やグループディスカッションを重ねて就活力を磨く「大樟塾」や面接セミナーなどに参加して、とにかく経験を積みました。就職課の方からの「普段通りのあなたなら、必ず良さが伝わる」という言葉にも支えられ、いつしか面接でも自然体で話せるようになりました。無事に志望していた企業から内定のご連絡をいただいた時は、大きな安心に包まれました。
それから、しばらく後のことです。今度は、「就職活動を終えた先輩」として、スタートアップ講座に参加することになりました。大勢の後輩の前に立ち、私が取り組んできたことを堂々と話すことができた時、自身の成長を実感できました。