17歳からのメッセージReport2005

17歳からのメッセージReport2005 page 6/44

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17歳からのメッセージReport2005

自分で閉めたビンのフタがどうしても開かない。こんなことって、よくあると思う。私の場合はビンじゃなくてココロだけど。私は人付き合いが苦手だ。自分が思ったとおりのことを言えば、相手は怒ったり、泣いたりする。怒られたり泣かれたり、そういう面倒なことも嫌いだ。だから、人と接するのは気を遣いすぎて疲れる。以前の私はもっと思ったことを相手にバンバン言っていたが、いつの間にか私はそれをやめてしまった。自分の心にフタをしたのだ。そうしたら、相手の声も自分の声も心に届かなくなった。楽になった。私はこんな良い方法があったのかと思った。他人と私の間に見えない大きな壁ができて、言葉は交わせるのに、心を通じ合わせることができなくなった。ケンカをするのは、相手との間に壁がなく、心が通じ合っているから。これで私はケンカもしない。随分楽になったし、相手の心の声が聞こえないことにも慣れた。でも時々、自分と相手が同じ場所にいても、全く違う場所にいるような気がする。フタをしていた長い時間が、ますます私に相手の心を拒絶させる。心と心を通じ合えない私は、今遠く離れた場所にいる。でもそれは私が自ら望んだことだった。自分で閉めたフタだったけれど、力を入れて閉めすぎたのか今は全然開けることができない。開かないビンは忘れ去られ、いつかは捨てられる。その前に開けられたらいいのだが。人生って色んな所から学べるものだ。私はカメを飼っているのだが、昼間の散歩中、しばしばカメの脱走計画が実行される。庭には仕切りがあるけど、うちのカメは決してひるむことはない。ごくわずかな隙間に向かったり、とどくべくもない仕切りを登ろうとする。そのたくましいこと。とはいってもやはりことごとく失敗に終わるのである。仕切りに短い手をかけ立ち上がろうともがいては、そのままひっくり返る。それでもなんとか頭や足でふんばり起き上がろうとする。そのうち疲れ果て一時休息。ややあって、またもがきはじめる。そんな姿を見て私はふと思った。まるで私とは正反対なのだ。私はまだ将来の夢を描けない。何かに向かって努力したり挑戦することが苦手だ。失敗するのではという恐怖心が先に立ち、いつも逃げてしまう。だけどうちのカメを見ていて思った。もがく姿も悪くないなと。何度ひっくり返っても起き上がれるということを。そんなうちのカメは私の人生のお手本になりそうだ。また、ペットは飼い主に似るというけど、私はペットに似なければ、と。現在高校二年生、今までの私はぐずぐず生きてきたけどこれからは変わろう。まず日々小さな目標を立てていこう。何度失敗したってみっともないことじゃない。もがいたって、どろまみれになったっていいじゃないか。諦めずに立ち向かおうとすることが大切なんだ。不器用だからこそ、精一杯もがいて生きていこう。長崎県立宇久高等学校(長崎県)松波美幸さん開かないビンのフタ417歳からのメッセージ?受賞作品集??グランプリ?グランプリ4点?今までの自分、これからの自分?テーマ?1今までの自分、これからの自分?テーマ?1福岡県立北筑高等学校(福岡県)西田華那さん