ブックタイトル17歳からのメッセージReport2018

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17歳からのメッセージReport2018

17歳からのメッセージ0917歳からのメッセージ奨励賞学校特別賞応募参加校一覧学生審査員賞金賞銀賞グランプリ高校2年、4月。私は4年間伸ばし続けた髪を切った。今でも鏡に映る自分に慣れないけど、これでよかったと思う。私はここからまた始動する。その覚悟なんだ。そもそも、私が髪を伸ばしたきっかけは、中1のときに母国に帰った親友だ。その子はとても髪が長くてきれいで、「誰からも愛される」という言葉がしっくり当てはまるような子だった。当時人間関係でトラブルが多かった私は、心のどこかで、その子みたいになりたいと思っていたのかもしれない。「次に会うときまで髪を伸ばす」なんて約束をした。それなのに月日が過ぎ、中3、高1と日常が多忙になっていくと、それを言い訳にその子のことを考えることが少なくなった。今はSNSで地球の裏側にいても連絡がとれるのに、13時間の時差を理由にたわい無い会話も少なくなってしまった。約束して伸ばした髪も、課題に追われて、風呂あがりに濡らしたまま寝おちる始末。手入れなんてもっての外だった。髪もどんどん傷んだ。髪の痛みと友情が比例しているようで、私は一度リセットしてやろうと思った。切った長さはなんと50センチ。頭が軽くなった。それをSNSでつぶやくと、すぐに反応が来た。なんと、一番初めに反応が来たのは、まさに親友のその子だった。友情は痛んでなんかなかったんだ。これからの私には新たな目標ができた。また4年伸ばそう。そして成人したら、地球の裏側に行ってやろう。部活の試合で負けた時、友達とうまくいかない時に私の頭にはある言葉が思い浮かぶ。「それがどうした。」私の家庭は共働きであるため、私はよくおじいちゃん家で過ごしていた。私はなにかある度におじいちゃんに話し、その都度おじいちゃんは「それがどうした。」と返す。その頃◆50センチの覚悟山梨県立吉田高等学校(山梨県)新田理那さん◆それがどうした。山梨県立吉田高等学校(山梨県)渡辺貴紀さんあこがれの制服に、新しい友達。はぁー。順風満帆!賑やかな教室に入り、席に着く。「私、将来はキャビンアテンダントになるんだ!」偶然聞こえた友人の言葉に、息苦しくなった。なぜなら、私にはまだ将来の夢がないからだ。昨日まで一緒だったはずなのに、みんなに置いていかれた気がした。数日後の家庭科の授業。海外での結婚制度についてだった。事実婚、同性婚、週末婚…様々なカップルが認められているらしい。「日本も、海外のように制度が充実すれば、もっと過ごしやすくなると思います。」…と、どこか他人事だと思いながらも、プリントにコメントして提出した。始業のチャイムと共に、先生の声が聞こえた。「この前のプリント、返すよー!」そこには、先生の真っすぐな字で返事があった。「日本の未来を変えるのは、あなたたちですよ。」小さく「えっ。」と声が出て、あなたたち、の五文字に釘付けになった。「あなた」たち…か。何度も読んでいるうちに、身体中から色んなことに挑戦したい気持ちが湧いてきて、みんなに近づいたような気がした。今までの自分、これからの自分テーマ1◆「あなたたち」山梨県立吉田高等学校(山梨県)加藤結衣さん作れた。」とか「自転車に乗ったから崩れた。」とか。思うように作れたら、それだけモチベーションが上がって一日頑張る事ができる。前髪をきれいに作るのは、魔法をかけるのと同じである。今日一日、頑張れますように。楽しく過ごせますように。……好きな人に少しでも、可愛いって思ってもらえますように。人それぞれ沢山の想いを込めながら、今日も鏡に向かって魔法をかけていくのだ。銀賞●45作品