ブックタイトル17歳からのメッセージReport2018

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17歳からのメッセージReport2018

17歳からのメッセージ1417歳からのメッセージ奨励賞学校特別賞応募参加校一覧学生審査員賞金賞銀賞グランプリSNSよりも手紙のほうが良い。これはほとんどの人が知っていることだと思う。私は他県に住む小学校からの友達と、稀に手紙でやり取りすることがある。「なんで手紙なん?」と何度も聞かれたことがあるけれど、理由は簡単で、ただ、私が小学校の頃に携帯を持っていなかったからだ。その友達とは親友と言ってもいいほどの仲で、その子が転校した際に、手紙という連絡手段を使って二人で会話を楽しんでいた。その頃の、ポストに手紙を投函する時や、自宅の郵便受けに手紙が入っていた時の気持ちは、今でも覚えている。あのわくわくした気持ちや、そわそわする気持ちは、きっと手紙でしか味わえないだろう。もちろん私も手紙だけでなく、LINEなどのSNSもよく利用する。SNSは無料だし、返信に何日も待つ必要もなくなり、手紙よりすばやく反応できて便利だ。それに、SNSでも返信はまだかと、わくわくすることがあるかもしれない。しかし、何日も待ってから手書きの返事が来る手紙の嬉しさや、何を書こうかと考えることのわくわく感は、SNSとは全然違う。切手代やわざわざポストまで行くのは少し面倒だと思うかもしれないが、それに値するほどの手紙の楽しさを私はみんなに知ってもらいたい。私の父はとても真面目だ。父のかばんにはいつも地図帳が入っているし、時間があれば中国の古典ばかり読んでいる。五十歳をすぎているにも関わらず、ずっと勉強を続けている父は、私が質問した事に何でも答えてくれる。でも逆に、その真面目さを嫌だと思った事があった。私が小学生のとき、離れて暮らす父から誕生日にプレゼントが届いた。わくわくしながらそれを開けると、中には国語◆手紙とSNSセントヨゼフ女子学園高等学校(三重県)川路梨華さん◆父からのプレゼント同志社女子高等学校(京都府)宮本くるみさん雲だ。低い所に広くできる雲だから、太陽の光を受けやすい。すぐに蒸発して、隊列を乱してしまう。掴み所のない雲だ。見ていると、コロコロと形を変えてしまう。私は雲にはなれないけれど、雲のようになれたらいいなと思う。自分らしさは何なのかよく分からない。自分がやりたいこともよく分からない。だから、どんなところでも、上手く自分を変えてやっていきたい。ちゃんと〝自分?を持てとか言われるけれど、私にはよく分からない。ただ、雲になりたいと思う。何にも干渉しないわけではない。でも、そっと表面だけを撫でて流れ去っていくような、そんな雲になりたい。私は、紙の本が好きだ。紙の匂いが好きだ。紙をめくる手触りが好きだ。古びた本の色あせた紙が好きだ。ページをめくる時の音が好きだ。並んだ背表紙を触るのが好きだ。「電子書籍」今や誰もが耳にする、あるいは利用するであろう電子化された本だ。スマートフォンなどの持ち歩く端末で何時でも何処でも手軽に読めるという魅力的なものだ。私も利用したことがある。このまま人々の電子書籍への需要は高まる一方ではないか。私は思った。するとどうなるか。紙の本の需要は減ってしまうのではないのか。すると著者は需要の少ない紙の本よりも、若者などに多く望まれる電子書籍へ移るのではないのか。当然だと思う。読んでもらうということが大事なのだから。今までもこうして様々なものが進化をしてきたのだろう。そこで私が今言いたいことは、紙の本の魅力だ。私が中学生の時、担任の先生の影響でそれまで以上に本を読むようになった。担任の先生と本について話ができるのがうれしかった。あの時読んだ本を今読み返すと、本のページをめくるとあの時がよみがえってくる。それは紙の本だからだと思う。ページをめくる感触、匂い、音が記憶になる。本の物語と読む人の物語が一緒になる。紙の本の魅力の一つだ。◆無題福井県立三国高等学校(福井県)山本望海さん気分が下がっていました。加えて、待ち合わせの時間を過ぎても現れない姉にイライラをつのらせながら、車の中で待っていました。やっと姉が姿を現し、母が車を動かそうとしたとき、小学校低学年くらいの男の子が近くを通りました。狭い道路だったので母は止まり、その子が通るのを待ちました。それに気づいた小学生の子は、ぺこりとおじぎをしてくれました。そして一言、「きれいな人だな。」と母に言いながら横を通り過ぎていきました。一瞬の沈黙の後、私たちは大爆笑しました。母はおそくに私たちを生んだのでそれほど若いというわけでもなく、しかもその日はすっぴんでした。私は姉に言おうと思っていたイヤミもすっかり忘れ、幸せな気分で車に乗って帰りました。少しずつ大人になるにつれて、きれいなものをきれいと言えなくなったり、好きなものを好きといえなくなったりすることが増えました。その理由は見栄だったり、ひがみだったり、他人に嫌われないためだったりとさまざまです。ですがそれは、自分にも、他人にも小さな痛みを与えます。だから、少しでもその小さな痛みを、小さな幸せに変えられるように、あの男の子のように、自分の感じたものを感じたまま、裏表のない言葉で表現できるように日々を過ごしていきたいです。私は雲を見るのが好きだ。今、空の上に浮かんでいる雲は、もう二度とこうして現れることはない。だから、雲に向かって私は、いつでも新しい気持ちになれる。家族やクラスメイトは、毎日同じ姿で、私の前に現れる。一度失敗したら、最初から綺麗にやり直しなんてことにはならない。だから、いつでも気を張って、自分の明日を守らなければいけない。私は雲が好きだ。特に好きなのは層積雲と呼ばれる雲だ。まず、見た目が好きだ。もくもくとしていて、ずっしりと重そうで、青空でも、灰色の空でも、夕焼けでもよく似合っている。そして、私が好きな雲としての性質を一番持っている◆雲福井県立藤島高等学校(福井県)橋本友莉さん