ブックタイトル17歳からのメッセージReport2018

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17歳からのメッセージReport2018

17歳からのメッセージ1517歳からのメッセージ奨励賞学校特別賞応募参加校一覧学生審査員賞金賞銀賞グランプリ驚いた、というよりほかになかった。数日後くるであろう結果をどきどきしながら待つと思ったからだ。書類を握りしめてスキップで帰ったのを今でも覚えている。家庭の事情どうのこうのでなく、働きたいところでアルバイトできるのだから。得意ではないが私は記憶力だけは良い。教えてもらったことをなぐり書き、それを行動に移す。それが楽しくて仕方ない。これが、向いているということなのだと思う。始まってから三日目、いきなり一人でレジを任された。足がすくみ、たえることのない行列で息つく間もない。ああ、自分は今笑顔だろうか、何か間違ってはいないだろうか、そんなことを考える余裕はあったのかもしれない。それから約一か月が経ち、土日は沢山のシフトが入る。今度の土日は休憩もあるんだ、と嬉しそうに話す。ユニフォームを着てぼうしを被る。鏡の前に立つ自分は自分であって自分でない。しっかりと店員になっている。ドアを開けると気が引き締まって、程よい緊張に支配される。働くってこういうことなのではないかと日々思う。また頑張ろう。「いらっしゃいませ!」学生審査員賞1作品大阪経済大学在学生が選ぶ優秀作品にも選ばれました。作品は、p.06学生審査員賞に掲載しています。「あなたの故郷はどこですか?」私は日本で生まれ、日本で育った。だが、私は在日朝鮮人だ。今、大阪朝鮮高校で、日本語の時間にペンを握っている。ともかく私は在日朝鮮人だ。もちろん私の周りも全員在日◆実は笑える桃太郎大阪市立南高等学校(大阪府)中田ひかりさん◆私たちの故郷大阪朝鮮高級学校(大阪府)趙智久さん「ガタンゴトン、ガタンゴトン。」電車に揺られながら、私は考えにふけるのであった。「やっぱり帰国子女は違うね。」褒め言葉だとわかっていても、あなたは私たちとは違う、と言われているような気持ちになる言葉。アメリカに行く前の私なら、何日間も「違う」ということに対して悩んでいただろう。しかし、アメリカでの三年半の生活を経験し、「違い」に日常的に触れることで、違いを受け入れることが当たり前になっていった。その当たり前を作ってくれたのが、アメリカの現地校のクラスメートだ。一人だけ英語が話せないという「違い」を持つ私を受け入れ、何度も話しかけてくれた。さまざまな人種、それぞれの文化や背景を持つ人々が集まるアメリカに住んでいる彼らにとって、違いを受け入れる、ということは日常的なことなのだろう。しかし私にとっては新鮮で、とても嬉しかった。このことから、違いを受け入れ、その違いと接していくことがどれだけ大切なことか改めて学んだ。今まで「違い」を遠ざけてきた私でも、環境一つでこのように考え方が、がらりと変わった。これからは「違い」を遠ざけるのではなく、受け入れ、尊重し、それぞれが抱えている「違い」に興味を持って接していきたい。私は今、とある店でアルバイトをしている。母子家庭で奨学金を借りている今、少しでも稼がなくては、とずっと思っていた。五月、面接に行った。「では、採用です。」◆違い大阪府立千里高等学校(大阪府)松尾佳奈さん◆働くこと大阪市立工芸高等学校(大阪府)秋山乃愛さん辞典が入っていた。私は少しがっかりした。その翌年のプレゼントは『蜘蛛の糸』。小学生の私には文章が難しすぎた。だから私は父からもらった国語辞典を使いながら必死に読んだ。そんな父からの真面目すぎるプレゼントは今も続いている。でも小学生のときとは違い、少し楽しみにしている自分がいる。十七歳になった今、思い返してみると、小学生のときの自分は父からのプレゼントのおかげでたくさん努力をしていた。そこで私は気付いた。父が本当に私にプレゼントしたかったものは努力そのものだったのだ、と。私に勉強を好きになるきっかけを与えてくれたのは父なのかもしれない。私は父に「ありがとう。」と伝えたい。「ガタンゴトン、ガタンゴトン。」電車に乗っていて、ふと感じたことがある。優先座席はなぜ普通座席とは異なる色なのだろうか。先日、電車で、ある出来事を目の当たりにした。年配の女性の方が乗車したが、満席だったために座ることができないままでいた。私は一駅だけだったので立ってその様子を見ていた。誰か席を譲らないかなと普通座席の方へ目をやると、奇妙な光景が広がっていた。全員が小さな小箱に夢中だった。スワイプに忙しい人や、動画を見ている人がいた。この状況では席を譲ることは不可能に等しい。そして彼らは席を譲らなかった。座席が二種類に区別されていることで普通座席に座っている人は優先座席があるのだから席を譲らなくてもいいと思っているのだろうか。それならば、全席を優先座席、普通座席にしたらよいではないか。いつでも譲らなければならない状況を作り出せるし、座席によって色を分ける必要もなくなる。世界史の授業でイスに座る人を色で分けるやり方はヒトラーと同じやり方で、それは区別ではなくて差別だと教わった。物や情報技術がいくら発展しても考え方は変わっていないのかもしれない。◆優先座席大阪府立千里高等学校(大阪府)鈴木雅隆さん