ブックタイトル17歳からのメッセージReport2018

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17歳からのメッセージReport2018

17歳からのメッセージ2117歳からのメッセージ奨励賞学校特別賞応募参加校一覧学生審査員賞金賞銀賞グランプリ今日も母がお皿を洗っている。今日は父が洗濯物を干している。毎日、毎日あたり前になっていた光景。小・中学校の時までの日常は親にやってもらうことがあたり前だった。高校生になった。私は部活動のために県外の高校に進学し、今、寮生活をしている。寮生活では親はいない。ましてや、他の部員との共同生活だ。お皿洗い。洗濯物。自分でやらなければ誰もやってはくれない。今まで、お皿は置きっぱなし、洗濯物は洗濯機に入れ、洗濯が終わってもそのままにしておけばよかったのに…。なぜなら親がやってくれるから。今、寮生活では自分が食べ終わった後のお皿は洗っている。洗濯物も終わるまで待ち、干してあった洗濯物は畳んでたんすに入れ、洗濯物も干している。どれほど親が私のこと、家族のことをやってくれていたか。「手伝うよ。」小・中学校の時、その一言を言って手伝いをすれば良かったと今、少し後悔の気持ちでいる。寮生活をして、親がしてくれていたことの大変さがわかり、親への感謝の気持ちが今までより一層増した。高校生になった今、私は寮生活から大切なことを学んだ。これから親へ、日々の日常の中でたくさん恩返しをしたい。今までの自分は何かに悩んでいても、人に相談することがありませんでした。高校一年生の頃の自分は、部活がうまくいかず、みんなにおいていかれている気がして悩んでいました。しかし誰にも相談しようとせず、友達が聞いてくれても言いませんでした。そして「言わないならいいわ。」とあきれられてしまい人間関係もうまくいかなくなっていきました。◆寮生活から変わる富山第一高等学校(富山県)東城美有紀さん◆自分の変化日本航空高等学校石川(石川県)桐山佳穏さん私は自分の行動を振り返り、地元の友達に電話をかけ相談しました。すると友達は真剣に話を聞いてくれてたくさんアドバイスをしてくれました。ずっと悩んでいたことを話したことでとてもすっきりした気持ちになり心もとても軽くなりました。その日から私は、部活のことや自分の悩んでいることを学校の友達にも話すようになりました。そして今までうまくいかなくて悩んでいた部活もうまくいくようになりました。この経験から私は悩みを話すことや友達という存在の大切さを学びました。相談する前は辛い気持ちでいっぱいだったけど、それを乗り越えたことで、自分はとても良い経験をしたと思います。これからの自分は、今までの経験をいかし、相談するばかりでなく、話を聞いて、その人の心を少しでも軽くしたり、友達が楽に悩みを打ち明けられるような、人に信頼されるような人になりたいです。幕が降りた瞬間の気持ちは、今も忘れられない。中学最後の学園祭。私は学年劇の主役を演じることになった。台本を見た時からセリフの多さと役の難しさを感じ、どうすべきか迷った末の決断だった。生徒会執行部としての活動も重なり、セリフがなかなか覚えられなかった。通し練習ではみんなに迷惑をかけた。何度も弱音を吐いた私に、みんなは「大丈夫。できるよ。」「どんどん良くなってるよ。」「頑張れ。」と、声をかけ続けてくれた。その小さな言葉にどれだけ救われただろう。本番。幕が上がる。始まったら不思議とそこまで緊張しなかった。それよりも今までのことが思い出された。このシーンは何度も失敗したな。ここはみんなで台本を変えたんだっけ。そんなことが頭に浮かんでいた。最後のシーン。演技を続けながら感じたことは、◆みんなでつくる山梨県立吉田高等学校(山梨県)長田祐佳さん「まだ、ここにいたい。」それだけだった。自然と涙がこぼれた。きっと、あの気持ちは忘れない。「みんなでつくる」「みんなで頑張る」なんて、くだらない言葉だと思っていた。私はあの時初めて、その言葉の本当の意味を知ったのだ。少し嫌なことがあった。そんな日の夜はやっぱり気分が上がらない。仕事から帰ってきた母が少し下を向く私の顔を覗き込んで「今日は美味しいものを食べに行こっか!何が食べたい?」と笑顔で聞く。私は「何でもいいや。」と答える。すると父が「とりあえず出掛けよう!」と言い、言われるがままに連れて行かれる。車に揺られ、着いた所は私の好物のある店。私が無言でいても父と母は何でもわかって、私の食べたい物を注文してくれる。心の中で「どうしてこんなにわかるの。」と思いながら、私は父と母の顔を見つめる。注文したものが来ると、「さぁ、食べな。」と父は言う。私は一口食べて「美味しい。」とだけ言う。父と母は何も言わず目を合わせて笑っている。家に帰ると、父はすぐに就寝する。居間には母と私。私はソファーに座ってテレビをボーっと見る。「何かあったの?」と台所からきこえる母の声。私はきこえてないフリをしてしまう。母は濡れた手をタオルで拭きながら私の隣に座る。「ママがわからないわけないでしょ。ママはずっと味方なんだから。」と言って私の手を握る。母の手は少し濡れて冷たいけど、誰よりも温かかった。私は涙を呑んでその日のことを話した。母は私の顔を見つめながら頷き、話が終わると私の頭を優しく撫でる。その日の嫌だったことがスッキリして、母の存在の大きさを感じた。私がいくつになっても、永遠に変わらない愛情。◆いくつになっても山梨県立吉田高等学校(山梨県)舟久保汐香さん