ブックタイトル17歳からのメッセージReport2018

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17歳からのメッセージReport2018

17歳からのメッセージ3117歳からのメッセージ奨励賞学校特別賞応募参加校一覧学生審査員賞金賞銀賞グランプリ少し笑って答えた。「愛は魔法のスパイスと言うでしょ。それだよ。」と。レシピを教えてもらってからはおばあちゃんの作る味噌汁がもっと好きになった。なぜならこの味は、お婆ちゃんの「愛」だから。私もいつか作れるようになりたい、お婆ちゃんの様な温かい味を。一般的に人に話し掛けると様々な答えが返ってきます。その内容に対する答えや新たな疑問が生まれたりもするでしょう。しかし僕が話し掛けると中学生に上がったばかりの弟はこういいます。「死ね。」この言葉は、おそらくそのままの意味ではなく、「うざい」とか「だるい」とか「面倒くさい」という意味の言葉を圧縮して「死ね」という言葉で使っているんだと思います。最初に言われたときは驚きましたが話し掛けるたびに言われるとだんだんなれてきました。中学校に入ったばかりで、新しい環境や難しくなる授業に加え、今まではなかった部活動。そんな時期に兄貴である僕がことあるごとに話し掛けてくるのがうっとうしくてたまらないのでしょう。空いた時間に兄貴と会話するよりも、休んだり自分のしたいことに時間を使ったほうが気分転換になりますし、その方が弟にとっても有意義でしょう。それでも僕はこれからも弟に話し掛けていきます。他にない僕の大切な弟です。どんな話題をふっても「死ね。」と返ってくると思います。でも僕も3年生、どんどん会話をする時間はなくなっています。全く会話がなくならないようにこれからも僕は弟にくだらない話をふっていきます。「死ね。」と返ってくるとわかっていても。いつかそれが弟の有意義なことに加わると信じて。だって僕は弟と話すときがとっても大好きで楽しいしね。◆しね。長野県丸子修学館高等学校(長野県)宮阪歩夢さんを肩に乗せてベランダで洗濯物を干していた。天気の良い日。ふと急に風が吹きびっくりしたクリームさんは母の肩から離れ飛んでいってしまった。私はすぐに家を飛び出し探したが見つからなかった。それから約1時間後、大きな鳥に追いかけ回されているクリームさんを目の当たりにした。空で追いかけ回されるクリームさんをどうすることもしてあげられない悔しさで胸がいっぱいになった。疲れ果てた私はベランダでクリームさんの帰りを待っていると仕事から戻り母と一緒に探していた父から見つかったという連絡が来た。しかし、その場にいたのは元気なクリームさんではなく血だらけの羽と静かに泣く母だった。信じられなかった。信じたくなかった。学校から帰ると外からでも聞こえた声、ただいまを言ってもクリームさんの返事はない。空っぽの鳥かご。ベランダを覗いてもやっぱりクリームさんはいなかった。クリームさんと過ごす当たり前の日常が消えた。私は、あの日初めて生きるという事、死ぬという事を知った。私はおばあちゃんの作ってくれる味噌汁が大好きだ。どんなに有名な料理屋さんのものでもおばあちゃんの味噌汁の味を超えることはできないと思っている。小学生の頃、私はおばあちゃんの家に泊まった。その日の夕飯にその味噌汁は出てきた。見た目はごく普通で匂いも特に変わったものではなかった。正直、味も普通なのだろう。そう思っていた。だが違った。普段家でお母さんが作ってくれるものとは格が違う。とても美味しかった。何杯もおかわりしたためにおばあちゃんから笑われてしまう程だった。私が中学生になり、家事が色々できるようになってきた頃、おばあちゃんにあの味噌汁のレシピを聞いてみた。それを聞いたとき、思わず笑ってしまった。普通の味噌汁と何ら変わった所がなかったからだ。おばあちゃんに聞いてみた。「どうしたらそんなにおいしくできるの?」おばあちゃんは目を瞑り、◆味噌汁長野県穂高商業高等学校(長野県)林寛人さんある日の夕方のこと。学校から帰宅して、リビングのドアを開けるとそこに広がるのはいつもの風景……のはずなのだが、その日は何だか違う気がした。低くて温かみのあるテーブルの上で、分厚い大学の資料が何か言いたげな様子で、私を待っていたかのようだった。「おかしいなあ、昨日片付けたはずなのに。怒られるに違いない。」そう思った。でもなぜだろう。結局私は、その冊子を手に取って開いてみた。大学のパンフレットを請求した時にパラッと目を通したくらいだから……1度見たきりだろうか。それにしてもやたらとよれている。前回よりもじっくり読んでみた。膨大な数の大学の情報をひとつひとつ。読み進めていくと、ページの右上に突如現れた謎の折り目。私は、両親が、私に合う学校はないかと探してくれていたことに気が付いた。私はよく親に言われたことに対してきつく返してしまう。それでも毎日お弁当を作ってくれること、進路について考えてくれていること、毎週実技のレッスンの迎えに来てくれること。ここには書き尽くせないほどお世話になっているけれど、これだけは言わせてください、「お父さん、お母さん、いつもありがとう。夢、叶えてみせます!」4年前、私の誕生日にペットで飼っていたオカメインコのクリームさんが突然いなくなった。クリームさんはもともと大人しい性格で母がクリームさんを肩に乗せてベランダに出ても飛んではいかない。そんな事にもいつの間にか慣れ、あの日も母はクリームさん◆謎の折り目山梨県立吉田高等学校(山梨県)五十嵐梨奈さん◆生死長野県穂高商業高等学校(長野県)宇留賀胡桃さん