ブックタイトル17歳からのメッセージReport2018

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17歳からのメッセージReport2018

17歳からのメッセージ04今年も17歳からのメッセージには3万を超えるご応募をいただきました。皆さまのお力で少しずつ育ってきて、いつのまにか18回を数えます。ありがとうございました。文章を書く、という行為自体は、SNSを思い浮かべるまでもなく、むしろ増えてきているかと思います。ただ、改めて原稿用紙に向かい、鉛筆で書く、あるいは投稿を意識して文字を打ち込む、ということはそれほど多くはないかもしれません。読んでもらいたい、これを伝えたい、と思うとき、人は改めて「距離」を意識します。それは家族や仲間や、世界や、そしてその誰かと関係性を結び、あるいは結びきれずに歯がゆい思いをしている自分自身との距離です。それを文章を通して眺めなおすとき、少し違った景色が見えてくる、その感動がさらにその先の景色を見せてくれるでしょうし、さらにまたその先を見ようという自分を生みだしてくれるでしょう。もちろん勢いにまかせて書き綴つづった文章もまた、読み直すときに同じように自分と向き合い、書いた自分に照れたりちょっと驚くこともあるのではないでしょうか。私たちは審査しながら「この声だけは全国の高校生に届けたい」「どんな人かぜひ会って話したい」そんな思いに駆られます。思わずにはいられない文章の力に毎回揺さぶられています。だから今一度問いかけたいのです。「あなたの伝えたいことは何ですか?」「琴きん線せんに触れる」という言葉があります。琴線とは「琴の糸」を指します。心の奥にある琴の糸が、かき鳴らされて、たえなる調べを奏でるように、何かの刺激が心に感動や共鳴を呼び覚ますことをいいます。審査では、多くの審査員の琴線に触れた作品が高く評価されました。特にグランプリの3作品は、訴えたいメッセージが明確で、文章の表現力や構成力も優れており、完成度が高いと感じました。琴で言えば、正統派の名曲といったところでしょうか。一方で、琴線を荒々しく爪つま弾びくような作品にも、心を動かされました。金賞の「君にだけは」や「スピカという僕の太陽」は、これを伝えたいという作者の強い思いが生々しく表現されていて圧倒され、激しい音色が心の中に響き渡ります。「JKの前髪事情」は、私のような中年男性審査員の琴線からはあまり音が出ませんでしたが、女子学生審査員らの琴線には強く触れたようで、彼女たちの熱い支持により金賞を射止めました。日々の生活の中で、友人や家族らのちょっとした言動が、思わず心の琴線に触れることがあると思います。その音色に耳を澄ませ、時の流れの中で忘れ去ってしまわないよう記憶にとどめたり記録に残しておいたりすることが、読む人に訴えかける力を持つメッセージを書くことにつながっていくのではないでしょうか。「ああ、これが今の高校生のリアルなんだ!」というたくさんの作品に出合えた最終選考でした。それは、いわゆる「今どき」というものではなく、大人にとっては懐かしい側面があり、私自身の「17歳」と重なる情景が浮かんでくるものもあったことが個人的には嬉しいことでした。とは言え、どこかで聞いたような表現ではなく、どれも新鮮で、エネルギーを感じさせられるものばかりでした。きっと、書いた当人にとっては初めて経験する驚きや感動、ちょっとした瞬間の気づきを逃さずに、丁寧に表現しているせいかもしれません。私たちの毎日はさまざまなことが起こり、昨日と今日とで全く同じことを思っているということはないと思います。ましてや17歳の頃というものは、1日の中の一つ一つの出来事に対して、その子らしい感情が次々に生まれているものだと思います。一つ一つの出来事をやり過ごせばそれまでですが、こうして文章にしてみると、自分自身の感情がどういうものなのか、どこからその感情が生まれてきているのか、客観的に見えてくるところが面白いのではないでしょうか。さらに、読んでくれる人にどう伝わるのか、どうすれば自分だけの見えない感情をそのままに伝えられるのかを考えると、言葉選びや文章の構成も楽しくなりそうです。私は今回の審査会に初めて参加させていただきました。審査しながら17歳の書き手の文章にした一瞬一瞬が絵に浮かび、場面を共有できているような気持ちになりました。これからも、毎日の中でのさまざまな感情を自分らしい視点と言葉に自信をもって表現してみてくだい。待っています!17歳からのメッセージ運営委員長近藤直美読売新聞大阪本社編集委員川西勝氏進研アドマナビジョンブック編集長古内由美子氏審査講評