ブックタイトル17歳からのメッセージReport2018

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17歳からのメッセージReport2018

17歳からのメッセージ0517歳からのメッセージ奨励賞学校特別賞応募参加校一覧金賞銀賞グランプリ学生審査員賞ガクッ、ガタン。一瞬何が起きたのか分からなかったが、すぐに自転車のチェーンが外れたことに気付く。遅刻ギリギリな今日に限ってどうして……と心で悪態をつきながら自転車を止めて直そうとした時、高校二年の夏に喧嘩別れした後、めっきり話さなくなった友人が登校して来るのが見えた。今は気まずい関係である。彼はこちらに気が付くと、ごく自然な動きで、近くに彼の自慢のロードバイクを止めてこちらに近づいてきた。気付くと彼は僕の自転車のチェーンと格闘を繰り広げていた。僕も車体を持ち上げたり、チェーンを広げたりして格闘に参戦する。ガチャン。凹凸が合わさったような小気味いい音が聞こえ、ペダルが回り始める。二人仲良くガッツポーズを取った後、またチェーンが外れるかもしれないということで、彼と一緒に登校することにする。彼と他愛ない話を交わして談笑しながら、なぜ彼と話さなくなったのかを考える。思うに僕は、彼との心のチェーンを外れた状態にしていたのではないか。外れた挙句、切れる寸前にあったのではないか。外れたチェーンは直せるが、切れてしまうとつなげることはできなくなる。チェーンを直すのが上手な彼に感謝をしながらペダルを踏み込む。直ったチェーンは、今までよりも強固になったように思えた。今までの自分、これからの自分テーマ1◆人とのチェーン富山第一高等学校(富山県)中川翔さん私は、音のある世界と無音の世界、二つの世界を行き来することができる。なぜなら、私は感音性難聴を持っているからだ。難聴、聞こえ方は人それぞれだが、私は補聴器を外すと全く音がない無音の世界へ連れて行かれる。補聴器をつけると、音のある世界へ行くことができる。しかし、私は完全な「音」を知ることができない。補聴器を通して聞く音というのは機械音のようでしかない。例えば、「涼しげな音」と言われても、私には文章から想像することしかできない。音のある世界と無音の世界の狭間で思い悩んだこともあった。「会話ができるんやから本当は聞こえてるんでしょ。」とか、「聞こえない障がいを持ってかわいそう。」など今まで言われてきた。小さい頃は傷ついて泣いてしまっていたけれど、今では自分で自分を「かわいそう」とは思わない。音が聞こえない分、頭の中に文字が出てきて、色までイメージしてしまう。目で見て「音」に色はないけれど、私の頭の中の「音」は文字と色がある。身体で風を感じた時、風の音は聞こえなくても、色が思い浮かぶ。私の思う「風」は、透明の中に淡い水色が混ざっているイメージだ。身体で感じ、頭の中で色を思い描くのはとても楽しい。補聴器から聞こえる機械音のような音でさえ、外すと、色とりどりに彩られた想像の世界が広がる。そんな二つの世界の狭間で、私は今日も生きている。私の母はえつこといいます。えつこは私が小さい頃からよくお弁当に甘い卵焼きを作って入れてくれました。私はこの卵焼きが世界で一番おいしいと思っています。高校2年のある日の昼食時間のことです。いつものように母の卵焼きがお弁当に入っ◆音のある世界と無音の世界京都府立聾学校(京都府)塩塚未空さん今、これだけは言いたい!(自由課題)テーマ3◆えつこの卵焼き鹿児島県立大島北高等学校(鹿児島県)成瀬茉倫さんグランプリ●3作品