ブックタイトル17歳からのメッセージReport2018

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17歳からのメッセージReport2018

17歳からのメッセージ0617歳からのメッセージ奨励賞学校特別賞応募参加校一覧学生審査員賞金賞銀賞グランプリ引き上げずに見送りにするだろう。ところが、おばあさんは家に持ち帰り、おまけに解体してしまう。好奇心旺盛なのか、人生においてのスリルを欲していたのだろうか。この危機感のなさが、私にはおもしろく感じられた。二つ目は、三匹のお供を雇用するシーンだ。サル、イヌ、キジが鬼退治において戦力になるかどうかはさておき、問題は労働条件である。桃太郎は、三匹にきびだんごを一つずつ配布し、契約を結ぶ。たった一つの和菓子で、命を懸けて戦わなければならないのである。私なら見送りにするだろう。なぜなら、ブラック企業の極致であるからだ。なんとも恐ろしい労働条件だ。このように、一筋縄ではいかない物語である。今ではありえないストーリーが、逆に興味深い話だったりもする。読んだ上で、自分ならどうするかなどを考え、読書の視野を広げるのも一つの楽しみ方だ。今、これだけは言いたい。日本の昔話はおもしろい!学生審査員賞●1作品ていました。量が多かったため、私は友達に母の卵焼きの味を自慢しようと少し分けてみました。すると、甘い味が珍しかったのか、瞬く間に大反響となり次第にクラスメイトの間では「えつこの卵焼き」というブランドができました。それからというもの、学校に行くたびに「今日えつこの卵焼きは?」と聞かれるようになり、母は友達の期待に応えようと、はりきって卵焼き用のフライパンを買い替えました。アルミホイルに包まれた大量の卵焼きを学校に運ぶ日々が続き、ついにえつこの卵焼きは他校にも有名になり始めました。そして、ノリに乗った母の最近の夢は「えつこ」と彫られた焼き印を卵焼きにジュッとすることになりました。私はなぜ母はこんなにも卵焼きに情熱を抱き始めたのだろうと考えました。それはきっと「娘と仲良くしてくれてありがとう」という私の素敵なクラスメイトたちへの思いの表れだったのでしょう。私が将来出世したら、母に10万円するという焼き印を買ってあげたいです。いつか卵焼きの味を受け継ぎ、その焼き印を「まりんの卵焼き」にジュッとする日を夢見て。桃太郎という昔話がある。日本の五大昔話の一つであり、誰しも一度は耳にしたことがあるだろう。愛され続けたおとぎ話であるが、私は純粋に物語を受け入れず、深読みしていた。そこで、よく考えると笑える二つのシーンを紹介しよう。一つ目は、おばあさんが川から大きな桃が流れてくる、という衝撃的な事実をすんなり受け止めたことだ。私なら何か危険な物かもしれないと躊躇し、川から今、これだけは言いたい!(自由課題)テーマ3◆実は笑える桃太郎大阪市立南高等学校(大阪府)中田ひかりさん私たちの手元に渡された作品は、自身の身近な日常が非常に高い水準で表現されており、瞼に浮かぶ情景や心情はとても高校生が書いたとは思えないものがそろっていました。それゆえに「最も優秀な作品」を選出するには非常に困難を極めました。熟考の末、学生審査員賞に選出したこの作品には、他の作品が自身の身近な体験などを書いているのに対し、桃太郎を引き合いに自身の考えを投影させたところに独自性が見えました。そしてこの作品で最も重要なのは「私なら見送るだろう」という言葉です。情報化した今の社会では健全なネットリテラシーが求められます。また身近な例でいうと、新卒一括採用の隆盛により企業を見抜く目がより一層求められています。その点この作者は自身の考えが確立され確固としたアイデンティティの持ち主であると考えられます。桃が流れてくるというおかしいはずの出来事が、昔話というくくりによって正当化されていることに気づき、さらに自身を重ね合わせ警鐘を鳴らすという、巧妙かつタイムリーであり話題性も十分なレベルの高い作品でした。ここに最大の評価を贈ります。おかしいはずのことをおかしいと思えることの重要さに気づかされました。経済学部3年生鉢上光樹さん学生審査員講評