ブックタイトル17歳からのメッセージReport2018

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17歳からのメッセージReport2018

17歳からのメッセージ0717歳からのメッセージ奨励賞学校特別賞応募参加校一覧学生審査員賞金賞銀賞グランプリ「あ、トンボだ。」歩いていた足を止めて空を見上げるほど、その日はトンボがたくさん飛んでいた。一匹で飛んでいるのもいれば、二匹で重なって飛んでいるものもいたりと、飛び方も様々だった。「早く帰らなきゃ。」お使いの帰りだったのを思い出し、家へと急いで走っていった。数日後、再びお使いを頼まれた。同じ道を通ると、またたくさんのトンボが飛んでいた。ふいに、一匹のトンボが私の左手に止まった。それがおかしくて、トンボの目をのぞこうと顔を近づけると、トンボは動かずジッと私を見つめていて「お前は何をやっている。」と言われたような気がしてハッとした。トンボはそんな私の心を読み取ったかのように、パッと手から離れ、大空の向こうへと飛んでいくのを、私はしばらく眺めていた。私も高三になり、受験に向けて勉強に力を入れるようになった。あれから私は、道草を食うことも、頼まれたことを途中で投げ出すこともなくなったのだ。一匹のトンボに自分の心をのぞかれ、間違いだと気付かされたことは私の小さな思い出の一つとなった。もし、もう一度あのトンボに会うことができるなら、私はきっとこう言うだろう。「私と出会って、気付かせてくれて、どうもありがとう。」と。弟は意地が悪い。今までの自分、これからの自分テーマ1◆トンボに気付かされたこと函館白百合学園高等学校(北海道)貝﨑和華さん◆ちょこん。山梨県立吉田高等学校(山梨県)平井莉奈さん「お姉ちゃん、一緒にゲームしよう。」私は勉強してるんだから、邪魔しないで。「お姉ちゃん、アニメ観ようよ。」私は週間課題が終わってないの。うるさい。「お姉ちゃん、ピアノでこの曲弾いてよ。」お姉ちゃんを呼ばないでっ!弟には、お姉ちゃんは大学受験を控える大事な時期だからって言ってあるのに。ゲームがしたくても、アニメが観たくても、ピアノが弾きたくても我慢してるのに。……と思ったら、ついに弟がお姉ちゃんの部屋にやって来た。ぼりぼり、むしゃむしゃ。今度は、何だ。甘いお菓子を食べていることを自慢しにでも来たのか。「集中できないから、別の所で食べてよ!」つい強い口調で言ってしまった。すると、彼はのそのそと部屋を出ていったらしい。けれどドアが閉まった音がしなかったから、「ドアはちゃんと閉めて」って叫ぼうとしてドアの方を見た。あれっ。ドアノブの上に何かが絶妙なバランスで、ちょこん、と乗っている。それは、チョコだった。お姉ちゃんにくれるらしい。良いとこあるじゃん、と思いながら、お姉ちゃんはちょっと反省した。甘いチョコを食べたら、今までぎしぎしと音を立てていた心の中の何かが、溶けていくような感じがした。「よっしゃ!今日は焼肉行こか!」と、がくにぃの一言で僕らとりまきは「オー!」と騒ぎながら焼肉店へと向かって行く。がくにぃとは、地元の一つ年上の先輩で、いつも周りに人がいる、いわゆる人気者で、がくにぃがいるときに何をやるか決めるときは、ほとんどがくにぃが決める。そこでとりまきの友達の一人がこう言った。「俺らってついて行くばっかで、自分からなんかしよーぜって言わへんよなー。」他にも何か話していたけど、正直その一言しか頭に入ってこなかった。確かにこれまでを振り返ってみても、その友達の言う通り、僕からどこかに遊びに行こうと提案した◆一言の勇気神戸市立摩耶兵庫高等学校(兵庫県)福本颯士さんことなどまったく思い出せなかった。というか、そうしようと思ったことがなかった。そこで思った。僕も何か、なんでもいいから、「どこかに行ってみよう」とか言って、友達をひき連れて遊びに行きたいなー。「焼肉の後やけどさ、みんなで海行かへん?」言っちゃったー!断られたらどうしよ、めっちゃ気まずいし恥ずかしいやん!と被害妄想をふくらませてたら「んじゃ、焼肉行った後、海に涼みに行こーぜ!」とがくにぃがノってくれた。言ってみるものやなと思った。何かを言った後のことを考えて不安に思っても、言ってしまえばいい方向に進むんやなと思ったし、自分に自信がついた気がした。そして焼肉店に行った後、僕らは海で飽きるまで遊びまくった。私のクラスには留学生が一人います。彼女は昨年の春、私達が高校二年の時にこの学校に留学してきました。私は外国人と話をしたことがなかったので、留学してきた初日に、「日本語」で話しかけてみました。でも、まだ日本語が分からなかったようでYESやOKといった返事しか返ってきませんでした。英語があまり得意ではなかったので、英語で会話していくのは無理だなと思い、それ以来話しかけることをしませんでした。それから一年後、三年生になってからも留学生の彼女とは同じクラスでした。昨年から比べると日本語が上手になっていてクラスのみんなと楽しそうにおしゃべりしている所をよく見かけるようになりました。そんなある日の朝、私がクラスにいくと留学生の彼女が机に向かって何か書いていました。気になって少しのぞいてみると、小さなノートにぎこちない日本語の漢字やひらがながたくさん書かれていました。それも、一つ一つ意味今いちばん知りたいこと、学びたいことテーマ2◆小さなノート石川県立金沢商業高等学校(石川県)川野舞里亜さん金賞●8作品