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稲場紀久雄名誉教授が平成28年度土木学会出版文化賞を受賞されました

2017年06月27日(火)

平成28年度土木学会出版文化賞

稲場紀久雄名誉教授の著書、「バルトン先生、明治の日本を駆ける!~近代化に献身したスコットランド人の物語」が平成28年度土木学会出版文化賞を受賞しました。
出版文化賞は土木に関連する出版物で、土木工学・土木技術の発展に貢献し、あるいは読者に感銘を与えることにより、土木文化事業の一環となりうると認められた出版物を対象とし、その著者を表彰しています。

「バルトン先生、明治の日本を駆ける!
~近代化に献身したスコットランド人の物語」
 稲場紀久雄 著 / 平凡社 2016年

受賞理由は以下の通りです。

受賞理由

本書は、明治期にスコットランドから招聘された衛生技師バルトンの国内主要都市や台湾における業績、バルトンの生い立ちや人となり、家族や友人、仕事仲間などについて詳細に記述した書である。本書は、著者の40年にもわたる緻密な取材に基づいて執筆されており、我が国の近代水道事業の黎明期について、分かり易く、かつ興味深く学ぶことが出来る作品に仕上がっている。
バルトンが招聘された明治期において、いかに衛生確保のための上下水道の整備が大事であったかを思い知らせてくれるとともに、このような状況の中で、異国日本への招聘技術者でありながら命を懸けて日本・台湾の衛生改革に携わったバルトンの土木技術者としての生き様がリアルに記述されている。また、本書は単に技術者バルトン一人の業績、足跡を辿るだけでなく、家族、ルーツ、交友関係を辿ることで、明治という時代と当時の日本と言う国の気風、国際交流などといった、非常に多面的な視点から人と社会を描き出した書である。
以上、本書は、衛生工学・上下水道技術がいかに社会に貢献するものであるかを如実に叙述しており、土木技術者ならびに土木工学に対する社会の評価を大いに高めることが期待される。また、バルトンという人物が駆け抜けて明治という時代に日本とスコットランドという国における志有る人々の物語としても高く評価される。
よってここに土木学会出版文化賞を贈呈する。