前学長・野風草だより

No.894

No.894 2018年12月23日(日)

ビブリオバトルで全国大会出場へ

 11月9日、D館2階のHUBでビブリオバトルが開かれ、バトラーは以下の4名でした。
木村 佑輝君    経済学部・3回生
 『 夏と花火と私の死体』乙一 著
満田 翔太郎君   経営学部・4回生
 『カフカはなぜ自殺しなかったのか?』 頭木弘樹 著
林田 荷恩さん   経済学部・2回生
 『日本のヤバい女の子』 はらだ有彩 著
田中 康太郎君   経営学部・2回生
 『青春を山に賭けて』 植村直己 著

 木村祐輝君がチャンピオンに選ばれました。感想は以下の通りです。
 入学当初から気になっていたビブリオバトルで今回チャンプ本に選ばれ、大変気持ちよく、全身に大きな快感が生じています。発表する前は本の紹介ということで少し硬いイメージをしていたのですが、実際はそのイメージとは180度異なり、参加者含め観覧者の皆様も表情柔らかく、時折笑いの起こる会場で非常に楽しく発表を行うことができました。また質疑応答では、質問を通じて自分も考えていなかった新たな視点の発想に驚かされ、本の奥深さを再確認させていただきました。
 この本は本編が150ページほどの短い小説なので、普段本を読まないという方にお勧めの本でございます。もちろん、普段本を読まれる方にも、ほかの小説には無いような変わった視点から描かれる本作には思わずやられたと顔がゆるんでしまうこと間違いなしです。

 木村君は、11月17日に甲南大学で開かれた「関西Bブロック地区決戦」でチャンプ本に選ばれました。すばらしいですね。おめでとう。12月23日の全国大会は、立命館いばらきフューチャープラザで全国36地区の代表が集まり、6グループに分かれた準決勝でも木村君は見事1位に輝き、決勝まで進みました。最後は惜しくも敗れましたが、よく頑張ってくれました。

 私は時々オススメ本、5つ星本を書いてきました(野風草だよりNo.712822877)。2018年の後半は、単著の執筆で忙しく、あまり読めませんでした。それでも何冊か、感動した本に出会えたのは幸せでした。文句なしの一押しは、木皿泉の『さざなみのよる』(河出書房新社2018)です。43歳で亡くなったナスミをめぐって、夫、姉、家族、友人・知人など実に多彩な人間模様を描いていきます。そして、友人と再婚した夫の子供の話まで、時はたっていくのです。構成の巧みさ、日本語の美しさに感動し、地域の図書館で借りたのですが、再読するために購入しました。前作の『昨夜のカレー、明日のパン』(河出書房新社2013)よりも良かったです。

 河治和香の『がいなもん松浦武四郎一代』(小学館2018)は、北海道やアイヌの探検家である松浦武四郎を描いています。「がいなもん」とは伊勢方言で、「途方もない」とか「とんでもない」という意味だそうです。彼を支援する伊勢商人として、松阪の竹川竹斎が出てきますが、私は江戸農書の調査で竹川家を訪ねたことがあるのです。竹斎の『蚕茶楮書』は、「日本農書全集」第47巻に収録されています。さらに河鍋暁斎との交流が出てきますが、彼は北森鴻の『狂乱廿四孝』や『暁英』でお馴染みです。どこでどうつながるかわからないから、面白い。
 赤神諒の『大友二階崩れ』(日本経済新聞出版社2018)は、豊後の大友家のお家騒動を描いたものです。家臣の吉弘鑑理(あきただ)が愚直なまでに「義」を貫きます。歯がゆくなります。『大友落月記』(同2018)は、吉弘鑑理の息子の鎮信(しげのぶ)が知略を尽くして大友家を挽回させようとするが、最後は敗れてしまう話です。最後に『大友の聖将(ヘラクレス)』(角川春樹事務所2018)。家臣のキリシタンが、アホな主君のために最後の最後まで信仰、愛、義を貫いて死んでいく話です。初めて知った小説家ですが(上智大学法学部の教員)、1本筋を通した生き方に感動して、12月の3週間連続のゼミ旅行中に読みきってしまいました。