2024.02.14
学生生活
だいけいだい教室「おつかいゲームを使った金融リテラシー学習」開講
学生がサポートし、楽しみながら金融の知識が学べるゲームを小学生が体験

2023年11月25日(土)、本学学生が地域の小学生と楽しみながら金融リテラシーを学ぶ、だいけいだい教室「おつかいゲームを使った金融リテラシー学習」を開講し、小学2~6年生の9名が参加しました。

本学では毎週土曜日を基本として、学生が講師となって近隣の小・中学生の学習サポートをする「だいけいだい教室」を実施していますが、今回の講座はその一環となる取り組みです。

普段の「だいけいだい教室」の様子
経済大学の強みを活かした金融教育にチャレンジ

2020年度に「学習指導要領」が改訂され、順次、小中高で金融教育がスタートしています。教育現場では、金融に関する教員の知識向上や授業に利用できる教材・資料が求められるなどの課題が挙がっているといいます。そうした状況を踏まえ、経済大学の強みを活かして金融教育に関わる取り組みを行いたいと考えていたところ、「ボードゲームを使った金融教育教材を知り、今回の企画がスタートしました」と、教育・学習支援センターの松山誠司氏は説明します。「だいけいだい教室に携わる学生には教員志望者も多く、教育現場で活用できる教材に触れることは学生にとっても学びの機会となります。学生からはやってみたいとの好反応があり、実施を決定しました」

講座で使用した教材は、「需要と供給の関係がわかる 教育用!おつかいゲーム」(株式会社イー・ラーニング研究所)。プレイヤーに配られた買い物リストに従って複数の商品を集めていく、すごろくゲームです。サイコロを振り、止まったマスに書かれている商品を購入してゲームは進んでいきます。ボードの商品には定価が書かれていますが、途中でイベントが発生すると価格は変動します。「豊作」「天候不良による不作」「原油価格の値上がり」「鳥インフルエンザ発生」など、イベント内容は現実社会で実際に起こる出来事で、なぜ商品の価格が変動するのか学習できるようになっています。商品の購入に必要なお金、商品を持ち帰るためのマイバッグも集めながらゲームを進め、お金の管理や計画的な買い物の仕方も学べます。

学生自身で考えた、子どもを楽しませるための工夫と対応

学生は講座当日までに、イー・ラーニング研究所のスタッフからゲーム内容についてのレクチャーを受けた上で、学生間でミーティングも重ねました。プレイヤー同士で売買交渉をするといった追加ルールを取り入れるのか、グループ分けについてなど話し合ったと言います。「ボードゲームを始める前の説明では、お面をかぶった2人の学生が演じるスタイルで行ったのも工夫の一つ。子どもたちが身構えないように考え、事前に準備しました」と、中塚陸さん(情報社会学部3年)は振り返ります。

当日は子どもたちを2グループに分けてゲームを実施。学生はサポート役として、自分の収益を把握するための「お金管理シート」の記入を促したり、商品カードを手渡すなど、ゲームの進行を助けます。「鳥インフルエンザって何?」といった子どもたちからの質問にも丁寧に答えます。福井暁斗さん(経済学部1年)は、「ゲーム中の子どもたちは盛り上がり、とても楽しんでくれていたのが印象的でした。ゲーム中のお金に関する説明もしっかりと聞いてくれていたので、少しでも興味を持つきっかけになってくれたらと思っています」と話します。

子どもと学生がそれぞれ得た、取り組みを通じての学び

ゲームを終えた子どもたちからは、「値段を意識して買い物をしようと思った」「物の値段の変化に気が付いた」といった感想が聞かれたと言います。中塚さんは、「社会で起こる出来事を知り、お金の計算やプレイヤー同士のコミュニケーションなど、子どもにとっていろんな学びがあるゲームだと感じました」と話し、今回の取り組みに手応えを得られたようです。

また、子どもと一緒に活動する中で、自身にも学びがあったと福井さんは話します。「まだ子どもと接した期間が短い私にとって、取り組みを通じての貴重な気付きがありました。特に感じたのは、大学生と子どもでは、物事の理解度に大きな差があること。自分にはすぐ分かるルールでも、子どもには丁寧に説明しないと伝わらない場面があったからです。この経験は、今後のだいけいだい教室での子どもとの関わりに活かしていけると思います」

企画立案に携わり、当日も取り組みを見守った教育・学習支援センターの新名秀彦氏は、「初めての取り組みだったにも関わらず、子どもたちの楽しそうな声があがり、学生は子どもの目線に立って対応できていました」と、学生たちの活動を評価。「ゲームを介在することで、子ども同士、子どもと学生とのコミュニケーションもよく取れていると感じました。また、大人になってから知識がなくて失敗しないためにも、早い時期から金融の知識を身に付けておくのは大切なこと。今回の講座は、子どもが金融教育に触れると同時に、学生も子どもとの関わりの中で学びを得て、双方にとって良い企画になったと思います」

金融教育の取り組みは今後も継続していく予定です。小中学校への出前授業を展開していくことも視野に入れ、経済大学である本学だからこそできる取り組みを進めていきたいと考えています。

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